(※画像はイメージです/PIXTA)

社長にとって、税金と社会保険料は悩みの種です。給与の額を大きくすると、会社の経費にはなりますが、個人の所得税と社会保険料は増加します。そこで、よくとられている方法が、社長の「役員賞与」を利用して社会保険料を抑えるスキームです。本記事では、そのしくみと、実行する場合の問題点についてお伝えします。

 

社会保険料の計算方法とは

まず、社会保険料の計算方法について簡単におさらいしておきます。

 

社会保険料は、月々の給与と賞与のそれぞれについて計算されます。月々の給与については「標準報酬月額」、賞与については「標準賞与額」を基準として保険料率が決まっており、それらの金額に保険料率をかけて算出されます。

「役員賞与」を利用して社会保険料を抑える方法とは

以上を前提として、役員賞与を利用して社会保険料を抑える方法についてお伝えします。「役員賞与スキーム」と呼ばれることがあります。

 

社会保険料の「標準報酬月額」と「標準賞与額」にはそれぞれ上限があり、支給額がその上限を超えると、保険料率が変わらなくなります。

 

社会保険料にかかる「標準賞与額」の上限は以下の通りです。

 

・健康保険料:年度累計573万円

・厚生年金保険料:1回あたり150万円

 

そこで、月々の給与の額を極端に低くし、役員賞与の額を極端に高く設定すると、役員賞与が「標準賞与額」の上限を超えます。その結果、月々の給与と役員賞与を合わせて全体として社会保険料の節約になるということです。

社会保険料をどれくらい節約できるか?

では、どのくらい社会保険料の節約につながるか、以下の2つのケースを用いて具体例で比較してみましょう。いずれも、受け取る給与の総額は960万円です。

 

【ケース1|役員賞与スキームを用いない場合(全額を月々の給与として支給)】

・東京都・45歳

・協会けんぽ加入

・月給80万円、役員賞与なし(合計960万円)

 

【ケース2|役員賞与スキームを用いる場合】

・東京都・45歳

・協会けんぽ加入

・月給30万円、役員賞与600万円(合計960万円)

 

なお、社会保険料の標準報酬月額は都道府県ごとに決まっています。詳しくは協会けんぽHPで確認することができます。

 

◆ケース1|役員賞与スキームを用いない場合

ケース1は、月給80万円のみを支給する場合です。社会保険料総額は以下のようになります(2022年11月時点)。

 

・月給にかかる健康保険料:90,455円×12ヵ月=1,085,460円

・月給にかかる厚生年金保険料:118,950×12ヵ月=1,427,400円

総額2,512,860円

 

◆ケース2|役員賞与スキームを用いる場合

ケース2は、月給30万円、役員賞与600万円を支給する場合です。社会保険料総額は以下のようになります(2022年11月時点)。

 

・月給にかかる健康保険料:34,350円×12ヵ月=412,200円

・月給にかかる厚生年金保険料:54,900×12ヵ月=658,800円

・役員賞与にかかる健康保険料:660,512円

・役員賞与にかかる厚生年金保険料:274,500円

総額2,006,012円

 

このように、役員賞与スキームを活用したケース2は、活用しないケース1と比べ、社会保険料を年間約50万円節約できることがわかります。

 

次ページ役員賞与スキームを行う場合の注意点は?

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