ハンセン指数 15,827.17 pt (+2.41%)
中国本土株指数 5,355.03 pt (+2.79%)
レッドチップ指数 3,004.09 pt (+2.06%)
売買代金1,060億2百万HK$(前日1,538億1万HK$)
米国は雇用動態が堅調でインフレ改善は遠のく
米国株式市場は主要3指数がそろって2日続落、翌日のFOMC、4日の雇用統計と重要な経済指標を控え、方向感に乏しい展開が続く。
米労働省が1日に発表した9月の米雇用動態調査は求人件数が43.7万件増の1,070万件と市場予想を上回り、FRBの積極的な利上げが続く中、依然として堅調な労働需要が確認された。
市場は米当局の利上げ減速期待で揺れ動き、米株式市場も投資家心理を反映した傾向が伺える。もっとも、雇用の減速は経済の需要を弱め、インフレ改善につながる。足元の雇用が非常に堅調であることはFRBにとっても悩ましい限りであり、インフレ収束に向け可能な限り舵を切るしかない。
明日の声明では積極的な金融引き締めの緩和が示唆されるかどうか、はたまたインフレ退治のため、「痛み」を伴う上で、現状の金融政策を続けるかどうか市場にっての最大の関心が続く。
ゼロコロナ政策からの脱却姿勢が好感され、香港は続伸
2日午後、香港天文台は台風警報を「シグナル3」から引き上げ、「シグナル8」(警報レベル)を発令した。香港取引所は13時55分(日本時間14時55分)にストックコネクト取引を含む証券市場およびデリバティブ市場の取引を停止した。
香港市場は序盤、安く寄り付いた後、上げ幅を拡大し前日からの上昇を引き継ぎ、ハンセン指数は前日比2.41%高と続伸した。
中国当局が新型コロナウイルスを徹底的に抑え込むゼロコロナ政策からの段階的な脱却に向けて準備を進めつつあるという前向きの材料が後押しし、中国経済活動の早期回復が期待される流れとなった。
本土不動産株が大幅躍進し、ハンセン不動産指数は前日比6.0%高となった。中国不動産開発大手の龍湖集団(0960)は18.9%高、碧桂園(2007)は13.3%高、碧桂園服務(6098)は12.2%高と上げ幅が目立った。
カジノ関連株も大幅高。マカオの10月のカジノ総収入が前年比10.7%減と8ヵ月マイナス成長も、マイナス幅は前月の49.6%から大幅に改善したことが材料視された。大手カジノの金沙中国(1928)は12.0%高、高永利澳門(1128)11.7%高、銀河娯楽(0027)は6.7%高だった。
また複数の都市で康希諾生物(6185)が開発した「吸入型新型コロナウイルスワクチン」の接種が江蘇省の13都市で行われると伝わり、感染拡大が落ち着くとの見方が広がっている。
同社株は前日比63.4%高と大幅高、医薬品セクターに買いが波及し、製造・販売の石薬集団(1093)は13.9%高、バイオ医薬品開発の薬明生物技術(2269)は5.1%高となった。
中国は上海・北京を含む一部地域でコロナが再流行
中国本土株市場は上海総合指数は前日比1.15%高の3,003.37、節目の3,000ポイントを回復。CSI300は同1.20%高の3677.81と続伸した。政策支援や景気回復への期待が後押し、香港市場同様に堅調な動きが続く。
足元、中国本土の新規感染者数(無症状者含む)は3日連続で2,000人超えと上海や北京といった主要都市を含む一部地域で比較的大規模な再流行が発生した。
香港では、直近の新規感染者数は5,000人前後で推移し高止まりが続くも入境時の義務的隔離検疫も不要となり、事実上ウィズコロナに転換したといえる。中国本土が、期待通り足並みをそろえる政策に移行するかが鍵となろう。
長谷川 建一
Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>