(※画像はイメージです/PIXTA)

国民年金基金連合会は2022年11月1日、企業型確定拠出年金(企業型DC)について、転職等で会社を離れた約112万人分の年金資金、総額約2,600億円が運用されず放置されていることを明らかにしました。このままでは運用機会が失われるだけでなく、月々の手数料により目減りしてしまいます。背景には、制度の十分な理解が浸透していないことが挙げられます。本記事では、企業型DCとはどのようなものか、解説します。

企業型DCの注意点

以上のように、企業型DCには手厚い税制優遇が与えられていますが、注意しなければならない点もあります。

 

1. 運営コストがかかる

2. 退職の場合でも解約・取り崩しができない

3. 従業員への投資教育が必要になる

 

◆注意点1. 運営コストがかかる

第一に、運営コストがかかることです。

 

企業型DCの運営管理手数料等は会社が負担することになっています。また、従業員の入社・退職、掛金の変更等の事務負担が発生します。

 

ただし、証券会社によってはこれらの負担を大きく軽減しているところもあります。

 

◆注意点2. 退職の場合でも解約・取り崩しができない

第二に、退職の場合でも解約や取り崩しができないということです。

 

企業型DCの積立期間は最低でも60歳までであり、途中で退職した場合でも、解約や取り崩しができません。転職した場合、6ヵ月以内に転職先の制度に移管させるか、転職先に企業型DCの制度がなければ個人型確定拠出年金(iDeCo)に切り替える必要があります。

 

もしも、6ヵ月以内にこれらの手続きを行わなかったら、国民年金基金連合会に自動的に移管され、その後は運用されなくなります。しかも、移管時に手数料4,348円がかかり、その後も毎月52円の手数料が差し引かれていきます。

 

したがって、加入者が転職等で会社を離れる場合は、企業はその旨を本人に対し十分に説明する必要があるといえます。

 

◆注意点3. 従業員への投資教育が必要になる

第三に、従業員への投資教育が必要になります。

 

企業には、金融商品の種類やそれぞれの特徴、選び方、「つみたて投資」の利点といった基礎的なことについて、継続的に投資教育を行うことが努力義務として課されています。したがって、企業型DCを導入するうえでは、従業員に対する投資教育が必須です。

 

この点については、証券会社によっては、講師の派遣や資料の提供等によりサポートしていることがありますので、それらを利用することをおすすめします。

まとめ

企業型DCは、掛金拠出段階、運用段階、受取段階のそれぞれにおいて手厚い税制優遇が与えられており、会社にとっても導入メリットが大きい制度です。ただし、制度として導入する場合は、運営コストがかかること、退職の場合に移管等の手続きが必要であること、従業員への投資教育が必要になることを十分に認識しておく必要があります。

 

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