(※画像はイメージです/PIXTA)

給与の額を大きくすると、その分だけ、所得にかかる税金の額や社会保険料も増えるのが悩みです。しかし、工夫次第で、実質的な手取りを増やすことはできます。本記事では、その有効な手段の一つで消費税の削減にもつながる「出張手当」について解説します。

出張手当とは

出張手当とは、役員・従業員の本来の給与とは別に、遠方へ出張した場合に一定の額を「日当」として支払うものです。

 

「出張旅費規程」を作成し、交通費・宿泊費とともに、出張手当についての定めをおけば、経費として支給することができます。

 

特に、出張の多い業種・職種で採用すると大きな効果をもたらします。また、「出張旅費規程」を定めておけば、一人社長も利用することができます。

出張手当の3つのメリット

出張手当には以下の3つのメリットがあります。

 

1. 法人税の節税・社会保険料の削減になる

2. 消費税の削減になる

3. 個人の手取りが増える

 

それぞれについて説明します。

 

◆メリット1. 法人税の節税・社会保険料の削減になる

第一に、会社にとって、法人税の節税と社会保険料の削減につながるということです。

 

まず、法人税の節税については、めんどうな計算をすることなく、こまごまとした出費を経費化できるということをさします。

 

すなわち、遠方に出張をすると、それだけで日常業務よりも肉体的・心理的負担がかかります。また、交通費や宿泊費以外にお金がかかることがあります。たとえば、ふだん夕食を家でとっているのに外食せざるをえなかったり、待機時間にカフェ等に入らざるをえなかったり、といったことです。

 

しかし、そのような費用は必要経費にあたるかどうかの判断が微妙なことが多く、しかも、経費として処理するにも煩雑になってしまいます。

 

そこで、そういったものについて「出張手当」を支給するとあらかじめ決めておくことで、めんどうな計算をすることなく会社の経費(損金)にできるのです。

 

また、社会保険料の削減の効果もあります。すなわち、出張手当は「福利厚生費」と扱われるので、給与にあたらず、社会保険料の対象にならないのです。したがって、遠方への出張が多い場合は、給与の一部を置き換えれば、社会保険料の削減につながります。

 

◆メリット2. 消費税の削減になる

第二に、消費税の削減効果もあります。すなわち、出張手当は、消費税の計算上「課税仕入」とみなされ、そこに含まれる消費税の額を控除することができます。「課税仕入」とは、事業のために外部から資産の購入やサービスの提供を受けること等をいいます。出張手当はこれに該当するというわけです。

 

他方で、給与等の支払は「課税仕入」にあたりません。給与には消費税が含まれていないため、当然のことではあります。

 

したがって、遠方への出張が多い場合は、給与の一部を置き換えれば、消費税の削減につながります。

 

◆メリット3. 個人の手取りが増える

第三に、個人の手取りが増えるということです。

 

まず、出張手当は福利厚生費として会社から受け取るものなので、所得税・住民税は非課税です。また、給与にあたらないので、社会保険料もかかりません。

 

したがって、給与の一部が出張手当に置き換えられれば、実質的な手取りが増えることになります。

 

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