写真:GTACスタッフ


異例の不良債権比率を導く要因のひとつと推測されるLankaputhra銀行のずさんな銀行経営。今回は、Lankaputhra銀行の不良債権に潜む内部組織の破綻だけではなく、銀行の外側から迫る政治介入の疑惑について見ていきます。

管理不足がもたらした不良債権比率の上昇

問題の一連の融資スキームでは、700万Rsを借りた1社を除いた全債務者が、Lankaputhra銀行に対する返済を滞らせていることは再三にわたり話題にした。しかし、Lankaputhra銀行を監督する唯一の委員会であるCOPEが2012年に出した報告書によると、これらの融資は粗略な査定報告書のもとで行われ、中央銀行の指針にも違反していたようだ。

 

Goonewardena会長は個々の融資について議論することを拒否した。しかし、会長は創立から2009年頃までの銀行の管理能力に関しては批判的だった。「不良債権比率は上がるばかりでした。証拠書類はあまりにもいい加減で、前体制時に雇用された従業員は不履行者に関連する書類やファイルの追跡に手を貸してはくれなかったのです。幹部職ですら無能で適任ではなかったでしょう。彼らはただ座っているだけでした」と彼は話した。

 

「それでも貸付金が回収できるようになり、不良債権比率をなんとか39%まで下げることが出来ました」とGoonewardena氏は続けた。銀行が最後に取材を受けたのは前年度末にあたる昨年12月であり、ちょうどGoonewardena会長が就任する直前の時期だった。

当時の大統領官邸から届いた疑惑の手紙

ほぼ全ての不良債権が2006年から2009年の間に発生している。Echelon誌はこれらの不良債権が政治家と彼らの指示に従って動く官僚の影響下で生まれたことを示唆する資料を発見した。

 

未返済となっている3億Rsは、靴メーカーがハンバントタ地区に置く皮なめし工場と製造所の拡張のために借り入れた分である。この融資がどれだけ借り手の手元に渡ったかは定かではない。しかし、2008年4月に大統領官邸から「この手紙に厳重な注意を払い、速やかに然るべき対応を取るように」との手紙が銀行宛に届き、事態は急変した。そこには国務次官補の署名入りで、靴メーカーが当時の大統領であったMahinda Rajapaksa氏宛に書いた設備強化を求める手紙が添えられていた。

 

設備強化を要求する大統領宛の手紙には、Lankaputhra銀行からの現ローンは遅滞なく返済していると書かれていた。Echelon誌が一部目にした融資関連の書類は、金融犯罪を捜査するCIDの金融犯罪特捜班が現在調査している。大統領からこの手紙が発送されたのは、Siromi Wickramasinghe氏が頭取で、会長がSarath De Silva氏だった2008年のことだ。

 

「この融資分は誰からも返済されていません。そもそもこの資金が意図されていた目的のために使われたかも分からないのです」とGoonewardena会長は14件の融資について述べた。また、この14件についてはCIDの金融犯罪特捜班に捜査を依頼しているのだと言う。「続報は特に耳にしていません。実は私達で直接連絡を取った債務者は、あれは融資ではなく助成金だったなどと厚かましいことを言ってきました」

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    この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年8月に掲載した「How to Rob a Bank」を、翻訳・編集したものです。

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