写真:GTACスタッフ

異常に高い不良債権率・歪んだ利益構造・政治介入の疑惑など、根深い問題を抱える国有銀行のLankaputhra銀行。最終回は、そんなLankaputhra銀行に対する格付機関の評価、そして今回の騒動のこれまでとは違う滑稽な一面をご紹介します。

世評とは乖離するLankaputhra銀行の格付評価

かつて、Lankaputhra銀行は融資限度額を2000万Rsに設定していた。銀行は優秀な人材の採用にも意欲的だったのだが、労働組合がそれを認めなかった。従業員ローンが銀行の貸出額の3%に近い割合を占めるうえ、預金残高が3億7900万Rsしかないことから分かるように、Lankaputhra銀行に対する国民の信用度はもともと高くはなかった。

 

マレーシアの格付け会社RAMレーティングスの現地班が作成したLankaputhra銀行の直近の信用格付報告書によれば、ここ数年主要幹部の欠員は埋まっていなかったようだ。この欠員には最高執行責任者・主任内部監査役・上級財務マネージャーが含まれる。そしてLankaputhra銀行には9年間で、会長が4人、頭取が3人、頭取代理が3人いた。

 

Lasantha Amarasekara頭取は、預金の安全は保障すると述べた。「当行の預金残高ベースはとても少額です」と認めたが、Lasantha頭取は、銀行がLRAレーティングス(RAMレーティングスの後任)からA-という多くの小規模銀行よりも高い評価を受けていると話す。

 

「よって、当行は長期的に安定することが見込まれます。しかし抱える不良債権は巨額です。ここ5年は融資先を厳選してきたため、年間不良債権率は7%以下に抑えることができましたが、2011年以前の不良債権が当行を圧迫しています」

 

表面的に見ていると、Lankaputhra銀行はこれほどまでの困難に陥ることを避けられたように思える。政府の管理により創立以来、役員には直接の利害関係に関わっていないメンバーが集められていた。政府が所有する機関であるにもかかわらず、株を保有する財務省の役人が役員に任命されたことは一度もなかった。規模の大きさにかかわらず、良い統治は重要である。Lankaputhra銀行の場合は、政府の影響を受けていない役員が集まったが、あまりにも閉鎖的だったため、実質的には政府の一部のような存在となった。

Lankaputhra銀行騒動の滑稽な一面

これらの独立した役員たちは、横柄な会長や頭取、あるいは物分りの良くない政治家たちに反抗することはない。そのことはLankaputhra銀行のバランスシートを見ても明らかだろう。そして、彼らが真剣で生真面目なだけに、この騒動に潜む滑稽さはより一層際立つ。

 

今年の4月1日に役員会に提出された内部監査メモは、トリンコマリー市にいるスリランカ自由党のまとめ役に頼まれ、そのエリアに拠点を置く漁業協同組合に対しボート購入費として7500万Rsの融資をしたことに触れている。その後の捜査で、そのまとめ役の家族3人の漁船を購入するための融資だったのが、購入したはずの17隻のボートの多くが行方不明であり、見せられたボートはボロボロの状態だった。

 

この負担を最終的に背負うことになる納税者からは、大いに軽蔑されることだろう。しかし、Lankaputhra銀行は喜劇ならぬ悲劇の主人公である。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年8月に掲載した「How to Rob a Bank」を、翻訳・編集したものです。

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