写真:GTACスタッフ

国債への投資や他行の定期預金の運用によって利益を生んでいるスリランカの国有銀行。今回は、資金繰りだけでなく直面している問題点も従来の銀行とは異なる、Lankaputhra銀行の課題についてお伝えします。

44.6%にも達した不良債権比率

政府予算からの30億Rsを含むLankaputhra銀行の資本には、2014年末に46億Rsを超える利益準備金を保有することとなった。しかし、Lankaputhra銀行は危機に直面している。そして、この銀行が抱える課題はスリランカ銀行業界が頭を悩ます難題とは正反対のものと言えるだろう。

 

一つ目の課題はその規模である。Lankaputhra銀行は業界の中でも子供のような存在だ。2014年の79億Rsの資産は、銀行総資産(商業銀行と専門銀行)のわずか0.12%である。そして、Lankaputhra銀行の預金量はたった3億8000万Rs、言い換えると、銀行業界が保有する全預金量4兆6000億Rsのおよそ0.008%にすぎない。

 

二つ目の課題は、2014年には44.6%にも達した不良債権比率だ。これはスリランカの銀行業界では前代未聞の数字である。しかも、今回問題となった衣料品工場再建分の5億5000万Rsの不良債権は、銀行のバランスシート上には計上されていないのだ。一方、銀行業界全体の不良債権比率は4.2%にとどまっている。

 

銀行ローンには、優良債権か不良債権のどちらかしかない。もしそれらが不良債権なのであれば、銀行はその潜在的損失に対し貸倒引当金を用意しなければならない。Lankaputhra銀行の2014年度の会計上では、6億6300万Rsが貸倒引当金として計上されている。さらに、Lankaputhra銀行には2013年末の時点にも4億6500万Rsの不良債権による未収の利息が残っていた。

国の支援を受けた大企業への融資が不良債権化

Lankaputhra銀行の7600人の顧客のほとんどが適度な金額を借りていて、彼らの返済履歴にも落ち度はない。「全不良債権のうち、少額しか借り入れない顧客分はわずか4%ほどでした。故意に債務を怠ったのは、中小企業とは見なせない国の支援を受けていた大企業たちなのです」とLankaputhra銀行の会長であるGoonewardena氏は話す。

 

これは武装劇による銀行強盗でもなければ、洗練された知能犯罪でもない。しかし、銀行が抱える不良債権、真面目さを欠く企業統治、そして、経営層による恐ろしいほどの責任逃れは、Lankaputhra銀行が甚だしいほどに怠慢で無責任な任務放棄をしていることを暗示している。それでもGoonewardena会長は「銀行強盗にあったようなものだ」と主張するのだ。

 

次回は、Lankaputhra銀行の不良債権に潜む政治介入の疑惑についてお伝えします。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2015年8月に掲載した「How to Rob a Bank」を、翻訳・編集したものです。

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