ドル円レートはいつまで上昇?
足元では、実際の為替介入と介入への警戒感でドル円相場は膠着していますが、[図表5]に示すとおり、ドル円相場と日米の政策金利差を比較すると、過去は、政策金利差がピークをつけて、しばらくしたあとに、ドル円相場がピークを打つ傾向がみられます。
これに沿えば、日銀が金融政策を変更しない場合、米国が利上げを打ち止めしたあとしばらくしてから、ドル円相場がドル安・円高に転じることになります。
米国の利上げ打ち止めはまだ先とみられますから、日銀が金融政策を変更しない限り、ドル円相場は当面のあいだ、少なくとも大幅なドル安・円高の方向には動かないように思えます。
「ドル円相場の上値余地」は限られる
日米10年金利差とドル円相場を比較すると、現状のドル円相場は、今後の10年金利差のさらなる拡大を先取りしているようにみえるものの、とはいえ、米国の10年金利が5%を超える、とまでは見込んでいないようです。
ドル円相場だけに心を奪われず、他の市場をみると、米国の株式市場はこれほどの引き締めにも関わらず、「絶叫」にはほど遠く、「誰もが売りに回るセリング・クライマックスには至っていない」ように感じます(→積み立てなど、「買い余力」を残すほうがよいでしょう)。
ドル円相場もこれと同じで、「誰もがドル預金に走るほどの状況には至っていない」ように思えます。
そう考えると、今後、ドルの長期金利が5%を超えるなかで、ドル円相場も短期的には160円あたりまで上昇するかもしれません。
それは「まだ、チャンスあり」ではなく、「ドル円相場の上値余地は限られる」ということです。
(資産運用について述べれば)たとえば、ここからのドル預金は、ドル高・円安で取るというよりも、金利差に頼らざるを得ません。
むしろ、①米国の株式市場に調整の余地があり、②ドル円相場がまだ高水準を維持するのであれば、A.利回りが高く、B.景気後退を先読みして動く分、調整が早く、C.景気後退ではFRBの支援も受けて戻りが早く、D.資源関連も多い、米国ハイ・イールド債券が、分散先の一案となるでしょう。
重見 吉徳
フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
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