「中国経済停滞」の見通し…日本への影響は
中国共産党の党大会が終わりました。
今後の中国経済は、短期的にも長期的にも大きな不確実性を持つように思えます。
B.米中対立(貿易や投資、人材・技術面での交流の停滞)
C.『成長の罠』(都市化の終了)
D.人口高齢化
と合わせて、中国経済を停滞させるリスクがあります。
言い換えれば、資本は自由主義や民主政治を好んでインドや米国などに流入・還流し、インドや南アジアが次の「世界の工場(投資先)」と「世界の需要地」になるように思えます。合わせて、資源・穀物・半導体を握り、軍事力を持つドル(米国)が堅調になるように思えます。
また、①自由主義や民主政治を好む資本の動きは、日本の企業にとっても有利に働きます。
日本企業はこれまでにも増して、どの国に投資をするのか、どの国をターゲット市場とするのかを考える必要があるでしょう。インドや南アジアはそのひとつと思えますし、②ドル高(円安?)は、日本への(内外企業による)投資が有利になるメッセージです。
国内で物価や賃金が下がると経済がひどく停滞するわけですが、円安は外国からみた日本の物価や賃金を下げることで、日本国内への投資を促します。こんなに楽なディスカウントの方法はありません。
2022年は、ロシアとウクライナによる戦争、安倍元総理の死去、中国共産党の党大会と、国際政治上、極めて大きな変化が生じた年です。為替は、経済に関連する事象なのですが、日本企業に(「国力」の低下というよりも)国際政治上の変化を気づかせようとしている後押しに思えます。
米国の長期金利はどこまで上がる?
米国の長期金利の上限を知るためには、政策金利の上限を知ることが必要です。筆者は、米国の政策金利は5%を超え、その結果、長期金利も5%近くまで上昇すると考えています。
まず、[図表1]に示すとおり、金融市場は5%近くまでの利上げ(ただし、5%は超えない)を織り込んでいます。
筆者は、「政策金利は、少なくともコア・インフレ率を上回る」と考えています。直近のコア・インフレ率(前年同月比)は4.9%です。
[図表2]に示すとおり、過去の長期間にわたって、政策金利の打ち止め地点では、政策金利がコア・インフレ率を上回っています。すなわち、実質政策金利(=政策金利-インフレ率)がプラスになるということです。