(※画像はイメージです/PIXTA)

相続対策で有益とされる方法の一つに、生命保険を活用する方法があります。ただし、組み方を間違えると、相続対策に役立つどころか、かえって争いの種になり地獄を招いてしまうおそれがあります。本記事では、生命保険が相続対策になるしくみと、実際に保険を組むうえで間違いやすい点についてお伝えします。

保険金受取人の指定を間違えると地獄を見る…

このように、生命保険は、相続に関する「相続税対策」「相続争いの予防」「相続税の納税資金準備」の3つの問題にすべて対処できる機能を持っています。

 

しかし、保険金受取人の指定を間違えると、十分に機能しません。そして、実際に組み方を誤っているケースがかなり見受けられます。

 

典型的なのが、特定の相続人に不動産や自社株といった大きな財産を承継させる場合に、その承継人ではなく、それ以外の相続人を保険金の受取人に設定しているケースです。

 

先述したように、生命保険の保険金は、民法上は受取人固有の財産であり、相続財産には含まれません。あくまでも相続税法上「みなし相続財産」として課税対象となっているにすぎません。

 

したがって、生命保険の保険金を受け取った人は、それとは別に法定相続分や遺留分を主張できてしまうのです。これでは、生命保険本来の「相続争いの予防」「相続税の納税資金準備」という機能が発揮されず、生命保険に加入した意味がありません。それどころか、相続争いがより深刻化し、さらなる地獄を見ることになる可能性があります。

 

正しい活用法は、あくまでも、土地や自社株式の承継人を保険金の受取人にしておくことによって、それを他の相続人に対する代償金に充てさせることです。もちろん、その旨を記載した遺言書を残しておくのが前提です。

 

相続対策というと、とかく相続税をいかに抑えるかという「相続税対策」に気を取られがちですが、「相続争いの予防」「相続税の納税資金準備」もきわめて重要な問題です。特に、「相続争いの予防」は、残された家族が末永く仲良く暮らしていってくれるために不可欠です。

 

したがって、3つの問題すべてにきちんと目配りしたうえで有効性のある相続税対策を考える必要があります。

 

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