(画像はイメージです/PIXTA)

遺言書で「1人の相続人に全ての財産を相続させる」という内容が残されていた場合、その他の相続人はとても納得できません。しかしその場合でも法的には認められるため、もし不服がある場合は、遺留分を請求するなどの手続きを進める必要があります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、遺留分侵害額請求について森亮人弁護士に解説していただきました。

 

具体的な遺留分侵害額はいくらになるのか?

前頁の最後でも少し述べましたが、実際にMさんの遺留分がどれくらい侵害されているのか? という計算を正確に行うことが紛争解決のために重要です。

 

しかし、被相続人の遺産を構成する財産が預貯金だけであるなど、シンプルなものであればよいですが、本相談事例のように不動産が含まれていた場合は、当該不動産の価値をいくらと評価するかは一義的に定まる問題ではありません。

 

どのように評価するかという点で、当事者間で対立が生れる可能性があります。

 

また、ある財産がそもそも被相続人の遺産に含まれるかという問題や、被相続人が生前兄に対して行っていた生前贈与のうちどこまでの範囲が、今回の遺留分侵害額の計算に含めるべきかという問題なども争点になり得る可能性があります。

 

これらの争点が存在するケースでは、専門家たる弁護士に依頼をして助力を受けた方がよいのではないかと思われます。

 

このように、遺留分侵害額がいくらであるかが関係者内で一義的に定まるような事案であればともかく、多くの事案では上記のような争点が含まれていて、金額の算定に幅が生じることがあります。

 

消滅時効が完成する1年以内に請求の意思表示をしなければならないと申しましたが、この時点ではまだ正確な侵害額が算出できていないことも有り得ます。

 

正確な侵害額を明記しなければ、有効な請求として認められない、というわけではないので、まずは期限内に請求のアクションを起こすことが肝要です

 

金額の算定に幅が生じ得るケースでは、請求する側とすれば最大限高い金額を見積もりたいのは当然の心理ですが、直接交渉または調停というのは、当事者相互の譲り合いや納得によって解決する手段ですから、最大限高い金額にあまり拘泥しすぎても解決に至ることは難しいかもしれません。

 

もちろん、それらの段階では妥協をせずに、最終的に民事訴訟を提起して裁判所の公正な判断を仰ぐというのも許された方法ですが、自己の主張が裁判所で認められる可能性の高さと、訴訟になってから費やす労力・コスト・時間などを総合的に踏まえて、合理的に判断することが必要な場面があるかもしれません。

 

裁判所が認めてくれるかどうかという見通しの判断も、弁護士のサポートを受けることをお勧めします。

 

最後に、遺留分制度に関しては2019年7月1日に法改正が行われて大きな変更がありました。これより以前(つまり2019年6月30日より前)に発生した相続に関して遺留分を求めたいという事案であれば、旧法が適用されますので、ご注意ください。

 

上記の話は全て改正法を前提とした解説になっております。

 

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