株情報も理由報じず…「隠したがる」中国政府
株式市場も情報公開面を改善しないと、一般投資家や海外投資家の信頼を失ってしまうだろう。心配なのは、「発表しない」だけでなく、「いい情報は誇張して報道する」「悪い情報は伝えない」という悪習だ。
10月20日の中国株式市場で、後場開始直後の株価がほぼ垂直的に上がる場面があった。これは、ブルームバーグによる「中国当局、入国者のコロナ隔離期間短縮を議論」との観測報道を受けてのもの。
ところが、中国ではテレビの株式番組でもネットの情報サイトでも上昇理由は報じずじまい。ネットの掲示板では「株価はなんで上がったの?」「私も知りたい」というコメントが虚しく流れていた。「当局の最終方針でないことは観測でも伝えてはいけない」「報じたら偽情報を流したと非難される」……。こんな忖度があったのだろうか。
中国と香港の相互取引制度「ストックコネクト」。平時は「外資のA株買いが50億元に上った!」「現在のところ30億元の売り越し」などの速報ニュースがスマホにどんどん飛び込んでくる。
ところがどうしたものか、大会期間中はさっぱりなくなった。なにか都合が悪いのか。事実をそのまま伝えられない闇の存在を勘ぐってしまう。
共産党大会の開催期間中、「香港⇒中国」(海外投資家のA株投資)は連日の売り優勢だった。5営業日(10/17~21)の累計売越額は293億元(約5980億円)に上った。
一方、「中国⇒香港」(中国人投資家の香港株投資)は賑わい、累計買越額は257億香港ドル(約4830億円)。外資はA株を売り、中国人はオフショア香港株を買う。この動きをどうみたらいいのか。マネーは語る。
奥山 要一郎
東洋証券株式会社
上海駐在員事務所 所長
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