施術レベルの低いクリニックは淘汰…AI顔診断で美容整形のクオリティを底上げするプラットフォーム【DX成功事例】

施術レベルの低いクリニックは淘汰…AI顔診断で美容整形のクオリティを底上げするプラットフォーム【DX成功事例】

トピックとしては広く浸透したDX。実際の取り組みに対し、評価するタイミングに差し掛かっています。DXによって収益化できている企業とそうでない企業はなにが違うのか、そもそも変革できたのか、どこで差がついたのか……今回は「AI顔診断で美容整形のクオリティを底上げするプラットフォームを作った企業」のDX実例を中心にみていきます。

 

店舗ではAI、アプリではARを利用した小売チェーン

最適な化粧品を探す手間が省けるOMOプラットフォーム

■事業:Sephora(セフォラ)

■運営:Sephora

 

EC事業者やメーカーにはできないAIとAR/ブランド横断での商品データを組み合わせた顧客体験

 

[図表2]Sephoraと利用者の関係

 

〈ビジネスモデルの概要〉

Sephoraは、1969年にフランスで設立された化粧品の小売チェーンです。1997年、LVMHグループに買収されましたが、他社製の化粧品も広範に扱っています。歴史のある企業ですが、日本でのインターネットの利用率が20%にも満たなかった1998年にオンラインショップを開設するなど、デジタル技術の活用に関しては小売業をリードする存在です。

 

Sephoraの店舗では、画像認識技術を利用した肌分析を受けられます。その裏では店員をサポートするAIが動いており、肌分析の結果だけではなく、来店客の購入履歴やサイトへのアクセス状況などを踏まえた提案を得られます。

 

アプリでは、AR技術を活用することで、理想のメイクアップをしたあとの自分の顔を確認できます。画面上でファンデーションやアイシャドウの色などを自由に変えられるだけではなく、チュートリアルの機能を利用してメイクアップの方法を学ぶことも可能です。

 

コミュニティサイトでは、購入金額に応じて特典を得られたり、顧客同士で交流できたりします。その履歴も含めて顧客データとして蓄積し、肌分析の結果、アプリの利用状況、商品データなどと組み合わせて解析することで、店舗やECのみの事業者には実現できない的確な提案を可能としているのです。顧客にとっては、自分に最適な化粧品を探す手間を省いてくれる存在といってよいでしょう。

 

進化の方向性

小売業全体はECやD2C(DirecttoConsumer:消費者直接取引)の拡大により低落しつつありますが、Sephoraは堅調に業績を伸ばしています。なぜなら、EC事業者やメーカーには実現できない価値を提供できているからです。

 

Sephoraのビジネスモデルは、化粧品のように「試しに使ってみたいモノ」「使い方を教えてほしいモノ」であれば適用できます。DIYで使う工具や資材、料理の道具や具材などはこれに該当します。

 

「店舗で工具や資材の使い方を教えてくれる」「作りたいモノや修理したい箇所の画像を送ると必要な工具と資材をリストアップしてくれる」などの機能があれば、小売業ならではの価値となるはずです。それは小売業の復興のみならず、社会生活をより便利にするインダストリアルトランスフォーメーションといってよいでしょう。

 

 

小野塚征志

ローランド・ベルガー 

 

 

本記事は、小野塚征志氏が監修した『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』(インプレス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

小野塚 征志

インプレス

最先端のDX事例を完全図解! &ビジネスに落とし込むためのヒントが満載! 「DX」はトピックとしては広く浸透しました。そのため、どんな事例があるか、どう取り組むか、どう経営に取り入れるかといった情報は語りつくされたと…

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