為替介入とは
為替介入(外国為替平衡操作)は、為替相場が急激に変動した場合に、通貨当局である財務省と日本銀行が、外国為替市場で通貨の売買を行うことです。
財務省が日本銀行に指示を行い、日本銀行が実行する形で行います。
今回は、急激な円安ドル高に対し「ドル売り・円買い」を行い、米ドルの流通量を増加させ円の流通量を低下させることで、円高に押し戻すために実施されたものです。
「ドル売り・円買い」に使う米ドルは、財務省が所管する「外国為替資金特別会計」(外為特会)から拠出します。
財務省が2022年10月7日に発表した同年9月末日時点での外貨準備高は1兆2380億ドルでした。そのうち外貨建て債券(主に米国債)が9,852億7,200万米ドル、外貨預金額が1,361億1,000万米ドルです。
8月末日時点と比べると、全体では540億1,600万米ドル減少しています。
内訳をみると、外貨建て債券が1兆367億8,100万米ドルだったのが9,852億7,200万米ドルへと515億900万米ドル減少しています。これに対し、預金額は1,361億1,000万米ドルから1,361億1,200万米ドルとほぼ変わっていません。このことからすれば、9月22日に為替介入を行うために米国債が売却された可能性が高いとみられます。
10月の為替介入はどのように行われたのか、11月7日頃には公表されるとみられます。
2022年10月の為替介入の効果は?
10月の為替介入は予告なしの「覆面介入」として行われました。特に為替相場に顕著な動きがあったのが10月21日と24日で、21日には一時的に7円以上円高になり、24日にも一時的に4円以上円高になりました。これらのタイミングで大規模な「ドル売り・円買い」の為替介入があったとみられます。
これらの覆面介入の結果、一時は1ドル150円台を突破していたのが、一時的に145円台まで抑えられました。しかし、その後も円安ドル高の傾向はおさまらず、11月1日時点では1ドル148円台にまで戻ってきています。
過去最大の6兆3,499億円を投入した為替介入の効果は、結局、円安ドル高の傾向に一時的にブレーキをかけ、進行を遅らせた程度にとどまったといえます。