10月11日からは1日の入国者数上限が撤廃され、昨今の円安の影響もあり約2年半ぶりに海外観光客が押し寄せそうです。外国人だけではなく日本人の検疫もスムーズになり、旅行ブームに火が付く予感がします。この環境の下、先行する世界の投資家からは、航空機への投資が再び脚光を浴びています。コロナ禍後のインフラ投資戦略として、なぜ航空機が有望視されているのか、航空業界ではいったい何が起きているのか──本連載では、そんな「航空機投資」の魅力をプロが徹底解説します。第4回目となる本稿では、「代表的な航空機エアバスA320–200の価格推移を例」に、「航空機の中古市場」について解説します。
アセットクラスとしての航空機の特徴は?:安定した中古機価格
エアラインが一般的に使用している航空機の経済耐用年数は20-25年程度と極めて長いのが特徴です。航空機もほかの資産(不動産や船舶等)と同じく、中古市場はその時の経済情勢に沿って変動するほか、リスクイベントの影響も受けますが、歴史的に長期にわたって比較的底堅く推移しています。
資産投資の検討に際しては中古市場の動きは最も考慮すべき要素の一つですが、航空機はほかの投資資産と比較しても安定した価値形成を特徴とするアセットクラスです。
中古市場の激しい値動きは投資家にとって悩みのタネだったり、逆にチャンスだったりするかと思いますが、航空機はこれまで触れてきた数々の特徴(強い需給環境や公共性の高さなど)や航空市場の予測可能性によって、価値の変動がある程度軽減される傾向にあります。
例えば、市場が低迷期や経済危機に見舞われたとしても、航空機の発注と納入(デリバリー)との間には年単位の時間差があるため、船舶のように需給バランスが比較的短期間で崩れるような状態は発生しづらい環境にあります。
言い方を変えると、激しい経済環境の変化に対して「数年間の猶予期間」を持つことができる需給環境にあるのです。もちろん猶予期間が終われば、緩やかに需給バランスは崩れ始めることになりますが、その時に経済環境が回復していれば、需給バランスの崩壊は緩和されます。
株式会社マーキュリアインベストメント
航空機投資戦略リーダー
外資系コンサルティング会社を経て、2008年あおぞら銀行に入社。同行では投資銀行部門に配属、入社以来、航空機や船舶ファイナンスを中心とするストラクチャードファイナンス業務に従事。香港現地法人にてアジア太平洋地域をカバーする航空機ファイナンスチームを立ち上げ、欧米金融機関と協働し、航空機リース会社等に対して数多くの融資を実施。2019年より株式会社マーキュリアインベストメントに参画。一般社団法人航空機投資研究会代表理事。南カリフォルニア大学経営学部卒。
株式会社マーキュリアインベストメント(http://www.mercuria.jp/)
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連載〈無敵のグローバル資産〉一流の個人投資家たちが注目する「航空機投資」の魅力を徹底解説!
旭アビエーション株式会社 代表取締役社長
伊藤忠商事に1989年に入社。宇宙航空機部を経て、航空機オペレーショングリース子会社である米国伊藤忠エアリーズにてジェネラルマネージャーに就任。2002年に三菱商事に入社し、米国での航空機リース会社立ち上げに従事。ジェネラルマネージャーとして発展を主導、2社で合計約180機の航空機のリースおよび売却の経験を持つ。2017年に旭アビエーションを設立、グローバルに航空機リースマネジメント、仲介、テクニカル/コマーシャル・コンサルティングサービスを提供している。
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