(※写真はイメージです/PIXTA)

10月11日からは1日の入国者数上限が撤廃され、昨今の円安の影響もあり約2年半ぶりに海外観光客が押し寄せそうです。外国人だけではなく日本人の検疫もスムーズになり、旅行ブームに火が付く予感がします。この環境の下、先行する世界の投資家からは、航空機への投資が再び脚光を浴びています。コロナ禍後のインフラ投資戦略として、なぜ航空機が有望視されているのか、航空業界ではいったい何が起きているのか──本連載では、そんな「航空機投資」の魅力をプロが徹底解説します。第2回目となる本稿では、「エアラインが航空機リースを活用する理由4つ」について解説します。

エアラインが航空機リースを活用するのは「経済的理由」だけではない

過去20年以上にわたる航空機のオペレーティングリースの著しい成長が示すとおり、多くのエアラインが様々な理由から「オペレーティングリースは費用対効果が高く、かつ機動性の高い機材調達手段である」と認識し積極的に活用しています。

 

エアラインが自社調達によるオンバランス取引ではなく、オペレーティングリースを利用して航空機を取得する背景には複数の異なる事情が存在しますが、それは経済的理由だけに限りません。

 

例えば、これまでエアラインは保有する機体の調達や現金化(セール・アンド・リースバック(SLB))、急な航空輸送需要の増加に対応するためにオペレーティングリースを積極的に活用してきましたが、それだけではなく機材計画(フリート戦略)の柔軟性向上、投資リスクの軽減、残存価値リスクの移転等を目的に航空機リースは活用されています。

 

これらの要素をまとめると、エアラインが航空機リースを活用する理由としては7つが挙げられます。以下、そのうちの4つを紹介します。

エアラインが航空機リースを活用する理由4つ

①人気機種の調達

コロナ禍で旅客需要ならびに航空機の需要は一時的に減速したものの、航空需要の急速な回復に伴い、航空機の需要も回復しています。特に最新鋭機や人気の高い機種においては、航空会社によるニーズが高く、発注から納入(デリバリー)まで、最短でも5年以上かかることも珍しくありません。

 

そのため、エアラインは10年単位の超長期の機材計画(フリート戦略)を作成し、航空機メーカー(OEM)との受注調整を行います。そこまでしないと新造機を予定どおりに取得できないのですが、このような戦略が取れるのは信用の高い大手エアラインのみに限られます。

 

その結果、中小のエアラインが最新鋭機や人気の高い機種を取得する手段としてはオペレーティングリースが現実的な手段となるのです。また大手エアラインにおいても、長い年月を経てようやく航空機がデリバリーされてくるのですが、5年や10年先となると良くも悪くも市場環境や財務状況は計画を立てた時点から異なってしまうのは避けられません。

 

悪化していた場合は、発注のキャンセルや、それだけでなく違約金の支払いという状況にもなりかねませんし、時には会社の屋台骨を揺るがす事態に発展することもあります。逆に、良化していた場合でもせっかくの成長のチャンスに際して航空機が足りないという状況に陥ってしまいます。

 

そこから急いで発注しても受け取るのは次の5年後になってしまうので、このような場合にもオペレーティングリースは有効な選択肢となるのです。

次ページ②財務的な柔軟性
増補改訂版 無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド 

増補改訂版 無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド 

航空機投資研究会、荒井 邦彦、野崎 哲也

幻冬舎メディアコンサルティング

「航空機が投資の対象になる」 世界中の金融機関や個人投資家が注目する「航空機投資」の魅力を徹底解説! 世界経済に大きな影響を与えた新型コロナウイルス 航空業界では何が起きたのか―― コロナ後の投資戦略として…

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