(※写真はイメージです/PIXTA)

就職氷河期世代への支援が喫緊の課題として叫ばれて久しく、行政も積極的な取り組みを行っています。では氷河期に就職活動を行うことはどれほどまでに過酷だったのでしょうか。政府調査をもとに解説します。

有効求人倍率とは?

なお、景気を表すのにしばしば用いられるこの有効求人倍率とは、有効求職者数に対する有効求人数の割合を指します。

 

すなわち、有効求人数を有効求職者数で割って算出しており、値が1を上回っている場合には求職者の数よりも人を募集している企業数が多く、下回っている場合には、人を募集している企業数よりも求職者の数の方が多いことを示します。例えば、有効求人倍が1.11であれば、求職者一人当たりにつき求人の枠が1.11割り振られているという計算になります。

 

ただ、厚生労働省が全国のハローワークの求職者数、求人数をもとに算出しているため、ハローワークを介していない求職者、求人については除外されていることは念頭に置かなかればなりません。

終わりが見えなかった氷河期の11年間

【図表1】では各数値の詳細は明記されておりませんが、【図表1】と併せて月毎の数値がエクセルデータ形式で公開されています。

 

本データによると、就職氷河期に当たる1993年〜2004年の11年間の有効求人倍率の最低数値は、1999年の5・6月の0.46です。最高数値は、2004年12月の0.92です。なお、この11年間で1を超えた月は一つもなく、求職者は足りない椅子を取り合わなければならなかったことが分かります。

 

一方、2009年〜2020年の11年間における有効求人倍率の最低数値は、2009年8月の0.42です。最高数値は、2018年8~11月、2019年1~2月・4月に各々達した1.63です。

 

なお、この11年間のなかで初めて1.0のラインを超えた、2013年11月から6年7ヵ月の期間に有効求人倍率が1.0未満に下がった月はなく、計算上は求職者一人当たりにつき、1つ以上の椅子が用意がされていたことになります。出口の見えない暗いトンネルがひたすら続いたような就職氷河期と比較すると、そのコントラストはあまりに自明です。

 

こうした背景を受けて、政府は内閣府主導の施策として2019年より「就職氷河期世代支援プログラム」を発表しました。本プログラムは50以上の支援策が準備されており、資格取得や職業体験のように求職者への支援、企業や支援機関に向けた助成金などの間接支援の両方がが盛り込まれています。

 

ですが、この50以上の支援策のうち、複数事業の予算執行率が低迷していることが明らかになっています。8割以上の予算を使い残した施策もあり、支援策と肝心のニーズに齟齬が生じていることは否めません。

 

2015年の国連サミットで達成目標として掲げた「SDGs」の8番目の項目には「すべての人が働きがいと十分な収入のある仕事につく」というポイントがあります。特に発展途上国の若者をターゲットとしてフィーチャーしていますが、先進国に分類されている日本でも同じ目標を掲げる必要がるところに、問題の根深さを感じずにはいられません。

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