(※画像はイメージです/PIXTA)

NHKは、2022年10月11日に公表した「放送受信規約(素案)」において、受信料の不払いについて、割増金を2倍にする方針を明らかにしました。受信料の強制の是非については、最高裁判所の2017年の判例があります。判例の論理を改めて確認するとともに、その妥当性について検証します。

「割増金2倍」を判例の基準で判断すると?

判例の判断枠組みが上記のようなものだとすると、どのような規約も、所定の手続を経ている限り、よほどのことがない限り違憲と判断されないことになります。

 

割増金を2倍にする条項についても、同様だと考えられます。なぜなら、所定の手続を経て成立する以上、裁判所は、ことさらに内容の妥当性にまで踏み込むことができないからです。

 

しかし、果たしてそれで良いのでしょうか。

 

繰り返しますが、判例の論理を根本で支えている前提は、NHKという公共放送局の公共性、非営利性、独立性、公正性といった特殊な位置づけです。その前提が崩れるような事態があれば、判例の論理は根底から揺らぐことになるはずです。

 

たとえば、かなり前の話になりますが、2014年1月25日に、NHKの籾井勝人会長(当時)が、「政府が『右』というものを『左』というわけにはいかない」「(放送内容が)日本政府とかけ離れたものであってはならない」などと発言しています。

 

その他にも、政治家の番組内容への介入疑惑や、記者の過労死の隠蔽疑惑といった、独立性・公正性を疑わせるような不祥事が起きています。

 

さらに、放送法が制定されてから長い年月が経ち、今日では多チャンネル化・IT化が進み、テレビ自体の役割・影響力が相対的に低下しています。そのなかで、NHK自体の公共放送としての存在意義・役割が変化してきています。

 

そういったことを考え合わせると、最高裁判例の論理は、実態に即していない、古典的な「公共放送の理念」にとらわれすぎているきらいがあるといわざるをえません。

 

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