(写真はイメージです/PIXTA)

相続により共有となった不動産がある場合、売却時や管理費負担の所在などで揉めやすいと、相続や不動産に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。トラブルのもととなる「共有」状態の解消策をみていきましょう。

不動産「共有」のよくあるトラブル

不動産を共有していると、以下のようなトラブルが生じます。

 

・共有者の意見が異なり、売却や賃貸が困難

・公租公課や管理費の負担について揉める

・共有者と連絡と取れなくなる可能性がある

・共有者に相続が発生し、共有者が増えてしまう

・共有者の1名が、共有している不動産を1名で占拠している

 

共有のトラブルで多いのが、売却のタイミングが合わない、管理の負担が特定の共有者に偏っているなどです。また、当初の共有者の仲が良い場合でも、共有者に相続が発生すると共有者が増えてしまい、売却や賃貸、使用方法を巡ってトラブルが生じることも多いです。

 

ただ、不動産を「共有」で取得すると、相続税や固定資産税などの負担は1名で取得するときに比べ軽減することはできます。そのため、不動産を「共有」で取得するか否かは、事前にしっかりとメリット・デメリットを検討したうえで、判断されるとよいでしょう。

「共有」の解消法

「共有」状態を話し合いで解消するには、下記の2つの方法があります。

 

(1)共有者のうちの1名の名義とする

(2)第三者に売却し、共有割合に応じて売却金額を取得する

 

「共有」状態を解消したいという場合は、(1)(2)について共有者全員で話し合いをしましょう。話し合いにより、(1)または(2)につき共有者全員で合意ができれば、共有状態を解消することができます。この場合、不動産の登記名義を移転することになりますので、合意書を作成するときは、必ず司法書士に登記名義の移転が可能かを確認してもらうようにしましょう。

 

それでは、共有者の話し合いでは、上記(1)や(2)での解決が出来ない場合は、どのような方法があるのでしょうか? 

 

まずは、民事調停の申立てをすることが考えられます。民事調停とは、簡易裁判所にて、調停委員が間に入り、共有物の分割の話し合いを進める手続きとなります。調停手続きとなりますので、あくまで共有者全員が同意しなければ、解決はできません。強制力はありませんが、調停委員という第三者的立場の方が話し合いの間に入ってくれますので、共有者間で話し合いをするよりも、感情的にならず、解決に至ることもあります。

 

ただ、共有者同士で感情的対立が深まっている場合など、調停手続きで解決できない場合もあります。そこで、民法は、共有物の共有状態を解消する手段として、「共有物分割請求訴訟」(民法258条)を定めています。訴訟によって、共有状態を解消させるというものです。訴訟での共有状態の解消方法としては、下記3つの方法があります。

 

(1)現物分割

(2)全面的価格賠償

(3)換価分割

 

(1)は、不動産そのものを分割するものとなりますので、共有不動産の場合は、(2)または(3)にて解決することになります。

 

(2)は、共有者のうち1名が、他の共有者の持分を金銭で買い取るというものになります。

 

(3)は、共有不動産を売却し、売却代金を共有持分割合で取得するというものになります。(3)については、裁判所が競売を命じることもありますが、共有者全員の同意により、任意売却の方法による場合もあります。訴訟では、裁判官が訴訟を進め、共有者全員の同意が得られない場合は、判決という形式で強制的に共有状態を解消することが可能です。

 

共有物の解消を希望される場合は、裁判となる可能性もありますので、弁護士に相談されることをお勧めします。

 

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