上場株式と非上場株式の相続税評価方法とは?
株式には上場株式と非上場株式の2種類があります。相続により取得した場合、これらの株式はそれぞれ評価方法が異なってきます。
以下ではそれぞれの評価方法に関して解説していきます。
上場株式の相続税評価方法
上場株式を評価する場合には、以下4種類の市場価格があるため、下記のいずれかもっとも低いものを相続税計算時の1株あたりの株価として評価します。
- 相続開始日の終値
- 相続開始日の月の取引日ごとの終値の平均額
- 相続開始日の月の前月の取引日ごとの終値の平均額
- 相続開始日の月の前々月の取引日ごとの終値の平均額
以上が原則的評価となります。
なお以下では例外的な場合の評価方法について紹介します。
①相続開始日が土日、祝日の場合
証券取引所は原則として平日のみ稼働しています。よって、市場は土曜・日曜・祝日・年末年始などは休みであるため、その日の終値を確認することができません。
相続発生日が休日であり、上場株式を相続により取得した場合の上場株式の評価は、相続が始まった日に近い日の終値で判断します。
例えば、相続開始日が土曜の場合には、その前日の金曜の終値で株価を判断します。また、日曜が相続開始日の場合には、株価を判断するのは翌日の月曜の終値となります。
②新株割り当てや配当金支払いがある場合
上場株式を所有する際に、新株割り当てや配当は、基準日にその株式を持っていなければ対象にはなりません。
株式の権利を得られなくなる日のことを権利落ち日といい、配当を貰える権利の日を配当落ち日と言います。
一般的に株式は購入日の3営業日後に受け渡されるため、基準日の前日と前々日に株式を購入しても、新株割り当てや配当の権利を取得することはできません。
相続により株式を取得した日が基準日にはない場合、株式の評価を正しく実施するのが困難になります。その場合は特殊な方法を用いて株式を評価します。
例えば、課税時期が権利落ち等の日から株式の割り当て等の基準日までの間にある場合についてです。その場合は、課税時期が権利落ちまたは配当落ちの日から株式の割り当て、株式の無償交付又は配当金交付の基準日までの間にある場合の上場株式の価格は、その権利落ち等の日の前日以前の最終価格のうち、課税時期に最も近い日の最終価格により評価します。
非上場株式の相続税評価方法
非上場株式の発行会社の規模は、大きい会社は上場会社に匹敵するものから、小さい会社は個人企業と変わらないものまで様々であることから、その株式の価額は、評価しようとする株式の発行会社の規模に応じて、それぞれの会社に適用すべき評価方式を次のように定めて評価することとしています。
- 上場会社に匹敵するような大会社の株式は、上場会社の株式の評価との均衡を図ることが合理的であるので、原則として、類似業種比準方式により評価します。
- 個人企業とそれほど変わるところがない小会社の株式は、個人事業者の財産評価との均衡を図ることが合理的であるので、原則として、純資産価額方式により評価します。
- 大会社と小会社との中間にある中会社の株式については、大会社の評価方式と小会社の評価方式との併用方式によって評価します。
以上のことから会社の規模ごとに上記方法で評価をしますが、この他にも特例的な評価方式である配当還元方式などの評価方法もあります。