自分の“時間の使い方”のタイプを知ろう
[図表3]の四象限マトリクスをご覧ください。これは予期のパターンを2軸で表したもので、4つのエリアで成り立っています。
- 禁欲家(予期が濃くて少ない):将来の自分とのつながりが強く、すべきことが明確な状態です。そのため自然と時間の見積もりがうまくなり、生産性も高い傾向があります。ただし、予期があまりに濃すぎる場合は、それはそれで副作用が出るケースもあるので注意が必要です。
- 容量超過(予期が濃くて多い):将来の自分とのつながりは強いものの、すべきことのイメージが多すぎる状態です。それぞれのタスクに強いつながりを抱くため、激しい焦りと圧倒されたような気分が生まれやすく、最終的にどの作業も進まなくなりがちです。
- 浪費家(予期が薄くて多い):将来の自分とのつながりが感じられないのに、すべきことのイメージがいろいろと頭に浮かび続けている状態です。遠い未来のタスクに現実感を抱きづらいせいで重要度が低い目の前の作業を優先しがちで、時間を浪費した気分に襲われることが多くなります。
- 無気力(予期が薄くて少ない):将来の自分とのつながりが感じられず、すべきことのイメージも限られた状態です。将来の姿が漠然としているのに加えて、具体的な行動をうながす目標の数が少ないので、無気力と怠惰に襲われやすいタイプだと言えます。
ご覧のように、予期の濃淡と多寡の組み合わせによって、私たちの時間感覚には複数の“個体差”が生まれ、最終的なパフォーマンスに影響を与えます。当然それぞれにふさわしい時間術も異なるため、「予期のずれ」に適した対策を選ばねばなりません。
それぞれのタイプに対応した時間術
それでは、個々人の「予期のずれ」に対応した時間術を見ていきましょう。ここからお伝えする技法は、すべてひとつの「メイン」と2~3つの「オプション」に分かれています。
メインは名前のとおり「予期のずれ」を正す効果がもっとも高いため、まずはここから試すのがおすすめです。
対して、オプションはメインよりも効果は低いものの、より手軽に実践できるものを選びました。メインの技法に慣れてきたあとに、追加でブースターとして使うといいでしょう。
どの技法を実践するかを選ぶ際は、「時間感覚タイプテスト」の結果を参考にするほか、あなた自身の感覚も活用してください。
「事務作業のときに私の予期は四象限のどこに当てはまるだろう?」や「勉強に取り組む際の予期はどう変わるだろう?」といったように、タスクごとに感覚の変化が起きていないかをチェックしてみるわけです。
鈴木 祐
科学ジャーナリスト