前回は、入居者の募集を難しくする「1社専属の仲介契約」の問題点を説明しました。今回は、賃貸物件の新規入居者を効率よく獲得するための「三つのポイント」を見ていきます。

他社にも空室情報を拡散させて、募集間口を広げる

現状の賃貸管理業界が前回紹介したような矛盾を抱える中、どうすればもっと効率的・効果的に新規顧客を獲得できるのでしょうか。筆者は、募集間口を広げる対策を含め、次の三つが大事だと考えています。

 

①募集間口を広げる

②仲介店舗の営業マンの推薦を仰ぐ

③物件(部屋)の特徴、「売り」をつくる

 

①募集間口を広げる

これを実現するための大前提は、管理会社はオーナーの利益の代弁者として管理業務に特化し、自社管理物件の客付けは他社仲介店舗に外部委託することです。そのために空室物件のマイソク(部屋間取り図面)を独占するのではなく、他社仲介店舗に一斉に提供します。

 

そうすることでオーナーが所有する物件の空室情報がエリア内のすべての仲介店舗に行き渡り、募集間口を拡大してリーシング活動を実施できるようになります(下記の図表参照)。

 

[図表]客付けの違い

 

1社独占による客付けと募集間口を広げた客付けでは、どちらの方法がより効率的・効果的にリーシング活動ができるのか、自社の販売店を持たない家電メーカーが新商品を発売した場面をイメージしてみてください。

 

1社専属で入居者を募集するというのは、全国に多くの家電量販店が存在するのにもかかわらず、そのうち1店舗でしか販売できない状況を余儀なくされているような状況です。それに対して募集間口を広げたリーシング活動は、全国の家電量販店で一斉に販売を開始できるような状況です。販売数が増えるのはどちらか、言うまでもありません。

市場占有率が極端に高い仲介会社なら、1社専属も有効

ただし例外もあり、それは特定エリアで一つの仲介会社が6、7割程度の大きなシェアを握っているケースです。その1社の仲介店舗に客付けを拒否されると、残りの3~4割の市場シェアの中で募集間口を広げることになります。

 

小さなシェアの中でいくら募集間口を広げても、入居希望者の目に留まる確率は小さいままなので、この場合は市場占有率の高い仲介会社に1社専属で入居者募集を依頼したほうが効果を期待できます。

 

しかしこれは例外ですから、そうしたエリア独特の事情がない限り、募集間口を広げたリーシング活動のほうが入居を早く決められる確率は格段に高まるでしょう。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『入居希望者が殺到する驚異の0円賃貸スキーム』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

入居希望者が殺到する 驚異の0円賃貸スキーム

入居希望者が殺到する 驚異の0円賃貸スキーム

池田 建学

幻冬舎メディアコンサルティング

大家が抱える最も悩ましいリスクは空室だが、これまで賃貸不動産で客付けをしようと思えば、「家賃を下げる」「リノベーションなどをして付加価値をつける」「広告料を仲介会社に多く払う」方法しかありませんでした。 にもか…

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