家計の収入と支出・資産と負債の関係を知る
最近は、株式投資の企業分析や決算書の読み方の本も数多く出版され、簿記やFPなどの資格への関心も高まる中で、「損益計算書(P/L)」や「貸借対照表(B/S)」の見方を知っている人も増えていると思います。
損益計算書と貸借対照表の見方は、お金の知識の基本中の基本です。これを飛ばしてお金に関する自己啓発書を読んだり、投資で成功するノウハウを伝えるビジネス書を読んだりしても、お金の本質は理解できないと思います。
損益計算書はもともと企業における「収益(売上)」「費用(経費)」「利益(純利益)」の枠組みを用いて収支の実態を表すためのもの、貸借対照表も同様に企業の「資産」「負債」「純資産」の枠組みによって資産状況を明らかにするためのものです。この枠組みは普遍性を持つものですから、家計においても応用することができます(図表1・図表2)。
損益計算書と貸借対照表を家計に応用する
左右が一致する複式簿記の世界では、損益計算書(勘定式)の左側の「費用+利益」と右側の収益が一致し、貸借対照表の左側の資産と右側の「負債+純資産」が一致します。
ここでは、これから投資を考えている読者に自分の家計をイメージしてもらいやすいよう、損益計算書の収益は「収入」に、費用は「支出」に置き換えて考えていきましょう。
まず収入と資産とは、まったく異なる概念です。損益計算書(P/L)は収入と支出とその結果を、貸借対照表(B/S)は資産と負債とその結果を表します。損益計算書は家計簿、貸借対照表は財産目録とイメージするとよいでしょう。
入ってきたお金は、必ずどこかに出ていきます。また、だれかに資産がある場合、裏を返せば必ず他のだれかの負債になっています。お金のプラスとマイナスが一致している──これが複式簿記のルールであり、「世界観」です。