(※写真はイメージです/PIXTA)

給料は上がらないのに、ガソリン代や電気代、食料品はどんどん値上がり──。投資業界では、そうした人々の将来への不安から「少しでも資産を増やしたい」という切実な思いをターゲットにしたマーケティングが盛んです。日本も政府主導で空前の投資ブームと言えるでしょう。しかし、そうして投資行為に着手する前に、一歩立ち止まり、投資の本当の怖さやウラ側についてよく知っておく必要があります。鹿子木健氏の著書『投資で失敗する人 成功する人――あなたの人生を貧しくする投資のウラ側』(自由国民社)から一部抜粋しお届けします。

 

複利は「人類最大の発明」。複利で運用せよ

「投資は複利がよいか、それとも単利がよいか」という議論を聞くことがあります。しかし、そもそもそんな話をすること自体が的外れで、投資とは基本的に複利運用のことを指します。

 

単利での投資は「投資」というより、副業のことではないでしょうか。投資によってなぜ資本(資産)が増えていくかというと、投資には複利効果があるからです。つまり、単利でお金を稼ぐことは投資とは言わないのです。

 

そして、複利運用では、現実的な問題として、年利回りとして最大でも20%~30%が限界であり、10%程度の利回りが得られるなら十分とのスタンスでいるべきです。

 

おそらく世界一有名な投資家であるウォーレン・バフェットの運用会社バークシャー・ハサウェイですら、平均利回り20%だということからも、20%の利回りは非常に優秀であり、それ以上のパフォーマンスを出し続けることは至難の業だとわかります。

 

20%~30%以上の利回りを出す投資家がいる場合は、ほぼ次の2つのケースのうちのどちらかです。

 

  1. 運用期間が数年間など短期である。短期間よい成績を出すことは難しくない。それに対してバークシャー・ハサウェイは50年以上の平均が20%である。
  2. 運用額が少額。少額の運用資金では高いリスクをとって高いリターンをたたき出すことも難しくはない。少額でハイリターンでは意味がない。

情報商材はほとんどがウソ

月利2%は、FXトレードをしている人にとっては非常に控えめな数字だと思います。YouTubeや情報商材販売サイトなどを見ると、月利何十%と豪語する人がたくさんいます。それでは長期間継続できませんし、どこかで破綻します。

 

また、月利何十%と出し続けている人がいたとしても、複利ではなく単利でしょうし、証拠金額も少ないでしょう。

 

もし、1億円以上の証拠金を月利50%で増やし続けている人がいたら、ぜひ教えてほしいです(存在しません)。たった10万円の証拠金でも、月利50%の運用をたった3年間続けたら、いくらになるでしょうか。なんと2184億円です。「月利50%の安定運用」とうたっている人が、3年も続けられないはずはありません(「安定」なのに、3年も続かないというのはおかしいですから)。

 

他方、わずか数ヵ月50%増やせただけで、「毎月安定して50%稼げる」などと言っていたら間違いなく詐欺です。そのようなすごい商材を販売する人が、たった10万円で遊びのように取引して、「月利50%」などと言うでしょうか? ──それを言うのがこの世界なのです。金融庁の規制も緩いのでやりたい放題です。

 

せめて、100万円、いや1000万円は証拠金にしないと、データとして信憑性がないでしょう。100万円で、月利50%をたった3年間(36ヵ月)続けるだけで、資産は2兆円です。1000万円で始めたなら、3年間で20兆円です。それだけの資産を持っていれば、世界一の資産家です。米大統領やユダヤ系の有力者をも凌ぐ、世界の陰の支配者になれます。世界の陰の支配者が、なぜYouTubeで小遣い稼ぎをしているのでしょうか(笑)。

 

次ページ複利で運用するとどうなるか〔月利2%の場合〕
投資で失敗する人 成功する人――あなたの人生を貧しくする投資のウラ側

投資で失敗する人 成功する人――あなたの人生を貧しくする投資のウラ側

鹿子木 健

自由国民社

だれでもカンタン、ほったらかし投資でFIRE、ネコでもわかる、一生お金に困らない、お金が勝手に増えていく、今なら間に合う、今日から始めよう…等々。 世の中には投資を勧めるフレーズが溢れています。 2022年からインフ…

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