国債は国の借金で購入者(国民)の資産
たとえば国債は、発行者(つまり国)にとっては負債ですが、購入者(つまり投資家)にとっては資産です。国債発行額を2倍に増やせば、国の負債も2倍になりますが、投資家の資産も2倍になるので、バランスは崩れないわけです。
上図が示すように、仮に支出が5%なら収益は95%利益になっています。また負債が5%なら、資産は95%純資産です。しかし支出をすることで(つまり投資によって)成功するか失敗するかは別にして、収入をさらに増やすことが可能になりますし、負債を抱えることで(投資のための借り入れによって)資産を大きく拡大することも可能になります。
さて、企業の経営者ならばだれでも、いま利益を出したいときには投資額を抑え、将来の企業価値を上げたいときには積極的に投資する、これがビジネスの基本であることを知っています。ここではあえて売上ではなく利益を本当の収入として考えますが、その場合、収入と資産に相関関係はなく、むしろ逆相関の関係であることがわかります。企業が収入(利益)を増やすには、投資をしないことです。投資をしないほうが目先の経営は楽になります。
一方で投資、つまり設備や人材や広告などにお金を使うと、利益が減ったり赤字になったりしますが、これは投資なので、業績の拡大によって将来の企業価値が高まることを期待しているわけです。収入(利益)を取るか、資産(企業価値)を取るか──そんな選択と決断を迫られながら、多くの経営者は日々努力をしています。個人レベルのお金の話に落とし込むなら、「今のお金を取るか、将来のお金を取るか」ということです。
今現在の収入増を期待している人にとって、投資は役には立ちません。しかし資産を増やしたい人にとっては、投資以外の方法を考えるのは難しいです。もちろん高収入を得ながら節約してお金を貯める、という方法もありますが長続きはしません。お金を増やしたいならお金を手放し、自分のために使わず将来の成功者である他者を出資で応援していくことでしょう。
もしくは自分の事業の成功を信じて自分自身に出資し、オーナー社長になることでしょう。あえて言うなら、これが「投資」です。投資をする人がいるから社会は回っています。反対に収入を増やしたいなら、できるだけ他人や自分の将来のために投資をせず、今の楽しみのために使うことです。
P/Lの左右が一致するという法則から、使えば使うほど(消費すれば消費するほど)収入が増えやすくなります。ただ、その場合は破産のリスクが高まり、将来自分に返ってくる果実(お金)は少なくなるでしょう。どちらの生き方をするかは、自分で選ぶことができます。