(※写真はイメージです/PIXTA)

給料は上がらないのに、ガソリン代や電気代、食料品はどんどん値上がり──。投資業界では、そうした人々の将来への不安から「少しでも資産を増やしたい」という切実な思いをターゲットにしたマーケティングが盛んです。日本も政府主導で空前の投資ブームと言えるでしょう。しかし、そうして投資行為に着手する前に、一歩立ち止まり、投資の本当の怖さやウラ側についてよく知っておく必要があります。鹿子木健氏の著書『投資で失敗する人 成功する人――あなたの人生を貧しくする投資のウラ側』(自由国民社)から一部抜粋しお届けします。

年金財政が破綻する? 投資より年金保険料を払うほうが先

投資よりも年金が当然先です。投資を考える前に、まず公的年金についてしっかり学んでいただきたい。それが私の最大限の善意です。

 

公的年金について正しい知識を得ることは、保険会社や証券会社の利益とは相反します。なぜなら、公的年金を理解すれば、投資をする必要がそもそもなくなる人も出てくるからです。

公的年金の仕組みと実態を正しく理解する

年金の実態を大雑把にとらえておきましょう。

 

今後数十年、日本の年金政策は「マクロ経済スライド」というルールによってコントロールされていきます。マクロ経済スライドとは、賃金や物価の改定率の調整に加え、現役世代である年金保険料の負担者が減って年金を受け取る世代である受給者が増えると、年金額がだんだん減っていく仕組みです。

 

絶対額としては増える可能性がありますが、そのときには物価も上昇するはずなので、相対的には受給額は減っていきます。そして、マクロ経済スライドだけでなく、今後は健康保険料の負担増、消費税の増税や所得税・住民税の増税もあるでしょう。

 

「年金財政だけが健全であれば大丈夫」というものではなく、年金は日本全体の財政の一部分にすぎない、と考える必要があります。今、「老後資金が平均2000万円不足する」と言われても、その数字は現時点でのものであり、実際にそれが来たときの予想として信頼できるものではありません。将来、世界や日本国に、そして家族に何が起こるかわからないからです。

 

だから、老後資金について、半ばあきらめに似た思いになっている人もいるかもしれません。将来のことは何とかなるとは思わないけれど、かといって今何かができるとは思わない。そう考えている人も多いかもしれません。知り合いや金融機関に勧められるままに、不動産や投資信託や保険を買ってしまって、後悔している人もいるかもしれません。

 

今必要なのは、煽られて金融商品を買うことでも、不安につけ込まれて何もわからないまま投資をしてしまうことでもありません。本当に必要なのは、次のことです。

 

  1. 公的年金の仕組みを理解し、公的年金の受け取りを最大化すること
  2. 公的年金で不足する金額を補う「自分年金」を作ること
  3. 年金以外のセーフティネットを、可能な限りたくさん準備すること

 

「年金制度は崩壊する!」「若い人は将来年金がもらえなくなる!」などとセンセーショナルな主張がネット上に氾濫しています。

 

年金制度に対して悲観してもよいし、危機感をもって準備するのは大切なことですが、「年金崩壊」「年金ゼロ」と煽り、だから年金保険料は納めなくてもよい、滞納しても問題ない、というミスリードを信じる若者たちがいることに危惧をおぼえます。年金についてあまりにも無知すぎます。無知は経済的な大損失を招きます。

 

無知に対しては、いずれは大きな対価を払わなければならなくなります。本来なら受け取れたはずの数千万円が受け取れなくなる──そんな可能性もあります。

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投資で失敗する人 成功する人――あなたの人生を貧しくする投資のウラ側

投資で失敗する人 成功する人――あなたの人生を貧しくする投資のウラ側

鹿子木 健

自由国民社

だれでもカンタン、ほったらかし投資でFIRE、ネコでもわかる、一生お金に困らない、お金が勝手に増えていく、今なら間に合う、今日から始めよう…等々。 世の中には投資を勧めるフレーズが溢れています。 2022年からインフ…

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