(※画像はイメージです/PIXTA)

学習障害、ADHDという言葉が近年急速に広まり、その数は増加傾向にあるといわれています。「学習障害」の診断書を求めて専門病院は予約が何ヵ月も先まで埋まっているという医療従事者の声もしばしば聞かれます。なぜそれほどまでに増加傾向にあるのか紐解きます。

学習障害児数の推移

学習障害児の数は近年、劇的に上昇していると叫ばれて久しいです。では実際にどれくらい増加しているのでしょうか。

 

下記の【図表1】は、学習障害と判断された子どもを支援する、「通級」と呼ばれる教育カリキュラムを実際に受けている子どもの数の推移を表したものです。

 

【図表1】「通級」による指導を受けている児童生徒数の推移(文部科学省)

 

上記の【図表1】を確認すると、「通級」による指導を受けている子どもの数は、文部科学省が公表している最新データである令和元年時点で、小・中・高と合わせて13万4,185人です。その数は右肩上がりの一途を辿りつづけていることが分かります。

 

平成18年(2006年)は4万1,448人であるため、この13年間で9万2,737人、223.7%増加している計算になります。

 

なぜ平成18年(2006年)と比較する必要があるかというと、「学習障害」が「通級」の指導対象になった年だからです。日本は欧米諸国などに比べ、学習障害児への支援・取り組みが著しく遅れているという背景があり、2004年に発達障害の早期発見と支援を促す「発達障害者支援法」がようやく成立しました。

 

支援法成立から2年後の2006年に、発達障害は「通級」の指導対象に加わりました。すなわち、平成18年より以前の数値に学習障害児の数は含まれておりません。

 

学習障害のほか、「通級」は言語障害者、自閉症者、情緒障害者、弱視者、難聴者が指導対象に該当します。(文部科学省ウェブサイトに掲載されている「特別支援学級及び通級指導に関する規定」)

 

ちなみに弱視者、難聴者においては、知的障害者、肢体不自由者などが指導対象となる「特別支援学級」にも該当しており、「特別支援学級」に通う場合と「通級」に通う場合があります。

 

では、平成18年(2006年)以降の上昇の仕方にについて細かく確認していきましょう。平成24年(2012年)は7万1,519人なので平成18年(2006年)から6年間で3万71人増えており、増加率は72.55%です。

 

翌年の平成25年(2013年)は7万7,882人です。令和元年は13万4,185人なので、この6年間で5万6,303人増えており、増加率は72.29%です。

 

すなわち、「ここ数年で急増しているわけではないが、コンスタントに増加の一途を辿っている」ということが分かります。

 

(さらに付け加えると、メディアが学習障害児の数について言及する際には、こちらの「通級による指導を受けている児童生徒数の推移」を参考にする場合が多いことが予想されます。

 

より学習障害児数の実態に近いであろう、同じく文部科学省の「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」は、2002年と2012年のみが実施されており、第3回目となる調査は2022年の冬に発表を控えている段階にあるからです。)

 

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