(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 18,087.97 pt (+5.90%)
中国本土株指数 6,224.61 pt (+6.28%)
レッドチップ指数 3,476.38 pt (+3.29%)
売買代金1,054億7百万HK$(前日633億3万HK$)

米国ISM製造業指数や求人数低下から利上げ修正に期待

米FRBが積極的な金融引き締め政策を軌道修正するとの期待から、株式や債券は急反発した。

 

今週に入って米S&P500指数は2営業日で5.65%上昇し、2020年4月以来の大幅上昇となった。債券市場では10年ぶりに4%台を付けた10年米国債利回りが3.5%台半ばまで低下、政策金利に敏感な米国2年債利回りも一時4.00%割れした。

 

今回のきっかけは、米国のISM製造業指数が市場予想を下回ったほか、雇用動態調査で求人数が予想以上に減少したことで、雇用鈍化が大幅利上げを阻むとの連想である。

 

昨日、オーストラリア準備銀行RBAが、利上げ幅を事前に予想された0.50%幅から0.25%幅に縮小したことも、そうした発想に一役買ったかもしれない。

 

また、トラス英政権が所得税減税案を撤回したことも、市場が不安定化するマイナスの要素を拭った感はあろう。ただ金融市場がこれで落ち着きを取り戻すとは言い難い。

 

今晩には民間機関から算出されるADP雇用統計、そして今週末には米雇用統計、来週は消費者物価統計の発表を控える。今後、利上げペースを一服させるほど経済が失速するとの材料が出るとは予想し難い。主要中銀は、直面するインフレを抑制するため、金融引き締めを継続することは避けられない状況が続くだろう。

香港は主要株、ハイテク株、スポーツ関連株が大幅高

5日、休場明けの香港市場は大幅高となった。ハンセン指数は1,000ポイント強上昇し、前日比5.9%高、心理的節目となる18,000も回復して取引を終えた。同指数は前日、取引時間中に一時17,000を割れ、2011年10月6日以来の水準まで切り下げていた。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は同7.54%高と市場をアウトパフォーム。構成銘柄はほぼ全面高となり、Eコマースの京東集団(9618)は10.1%高、スマホ部品の比亜迪電子(0285)は9.5%高、オンラインゲームの金山軟件(3888)は9.0%高で引けた。

 

香港取引所の主要銘柄も大幅高となり、保険大手の中国平安保険(2318)は9.6%高、自動車・電池メーカーの比亜迪(1211)は9.2%高、Eコマース大手のアリババ(9988)は8.4%高、フードデリバリーの美団(3690)は8.1%高だった。

 

そのほかスポーツ関連株が大幅高。ニット衣料の申洲国際集団(2313)は13.7%高、スポーツシューズの安踏体育用品(2020)は10.4%高、スポーツ用品大手の李寧(2331)は10.4%高で引けた。

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年間にわたり中止されていた北京マラソンが、3年ぶりに開催されることが決まったことが材料視された。「ゼロコロナ」政策撤廃の兆しを嗅ぎ取った株式市場では、外食などサービス関連株も一段高となった。

 

なお、中国本土の金融市場は国慶節の祝日に伴い、引き続き10月3~7日にかけて休場となる。休みが明けてみれば、世界が一変しているという事態になるかどうか? ただ、楽観は禁物だろう。
 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

 

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