(※写真はイメージです/PIXTA)

世界地図をのぞくと日本はロシア・中国・北朝鮮に囲まれており、現在の世界情勢を照らし合わせると、地政学上大きく危険をはらんでいる国の一つといえます。2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻による戦場の痛ましい現状の報道を目にして、罪のない人々が苦しむ姿に心痛めるとともに、自国の安全への不安を募らせれている人も多いのではないでしょうか。本連載では「2027年、日本がウクライナになる(他国に侵攻される)」と予測する、元自衛官で「戦場を知る政治家」である佐藤まさひさ氏の著書から一部一抜粋して、日本防衛の落とし穴についての知識を分かりやすく解説します。

中国が台湾を獲得すれば、日本は中国の手のなかに

他のルートはないのか? 少し遠回りのルートがあります(前ページの地図参照)。インド洋からバリ島の脇のロンボク海峡を抜け、インドネシアを縦に突っ切るようにマカッサル海峡を通り、フィリピンの南側から太平洋に出るルートです。

 

でも、中国の潜水艦が、太平洋の入り口辺りに突如プカッと浮上してきたら? もう誰も通れなくなります。海底から狙われると思ったら、怖くて仕方ないですから。石油が入らなければ日本はアウト。”生命線”は中国に握られているのです。

台湾有事の緊張ピークは2027年と予想

台湾有事という言葉を耳にする機会が増えました。でも多くの日本人はピンとこなかったでしょう。しかし「台湾有事は日本有事」なのです。さらに直接、攻撃を受ける可能性もありますが、それについては後述します。ズバリ゛その時"はいつか?

 

早ければ2027年、というのが私の゛読み"です。米インド太平洋軍デービッドソン司令官(当時)も、次の認識を示しています。

 

「2027年までに、中国が台湾に軍事攻撃をしかけるリスクがある」

 

と。右は米上院軍事委員会の公聴会で語られたことです。彼はこうも言っています。

 

「米海軍が、アメリカ西海岸を出発して沖縄―フィリピンを結ぶ『第一列島線』に到達するのに、約3週間かかる」

 

と。

 

 

第一列島線とは、中国が設定した対米防衛線。「線内の内側への接近を拒否する」という目標ラインです。中国としては第二列島線との間で海軍や空軍を厚く展開し、アメリカを迎え撃つという目論見です。中国が勝手につくり上げたシナリオ、あまりにも横暴だと思いませんか?

 

他国の領土や領海を自国の防衛線に設定している訳ですから。日本、台湾、フィリピン、インドネシアを、まるで自国のように考えています。これこそが中国の覇権主義であり、恐ろしさなのです。

 

いずれにしても、ウクライナの教訓から短期決戦を企図して、台湾の東西から中国が台湾に侵攻した後、アメリカ本土から部隊が到着するまでの間に台湾国民や在留外国人を人質にするでしょう。

 

奪還するのは容易ではありません。2027年の゛その時”が来てから行動したのでは間に合いません。私の゛読み”が外れるならこれほど嬉しいことはない。しかし「最悪のシナリオ」を想定して、リスク回避に備えておくことも、私の仕事だと思っているのです。

 

佐藤まさひさ
参議院自民党国会対策委員長代行
自民党国防議員連盟 事務局長

※本連載は、佐藤まさひさ氏の著書『知らないと後悔する 日本が侵攻される日』(幻冬舎)から一部を抜粋し、再編集したものです。

知らないと後悔する 日本が侵攻される日

知らないと後悔する 日本が侵攻される日

佐藤正久(現・佐藤まさひさ)

幻冬舎

2027年、日本がウクライナになる――。決して脅しではない。習近平国家主席が4期目を決めるこの年に、世界は大きく動くことになるだろう。ロシア、中国、北朝鮮に囲まれた我が国の危険性は、日増しに高まるばかりである。ロシ…

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