長引く経済低迷のなか、経済産業省が旗振り役となり、DXによる企業改革を推し進めています。その理由を欧州系戦略コンサルティングファームのローランド・ベルガーに参画している小野塚征志氏が解説します。

日本経済復活に不可欠なDX

経済産業省がDXを推し進めるワケ

日本の労働生産性は、残念ながら高いとはいえません。OECD(経済協力開発機構)のデータによると、2020年の日本の「1時間あたりの労働生産性」は、米国の約6割にあたる49.5ドルにすぎません(図表3)。OECD加盟38カ国中では23位、主要先進7カ国との比較では、データが取得可能な1970年以降、現在に至るまでつねに最下位です。

 

[図表3]1 時間あたりの労働生産性(2020年)

 

つまり、生産年齢人口のみならず、総人口の減少にも転じた日本は「労働生産性の飛躍的な向上を図らない限り、国際競争力の低落は必至」ということです。経済産業省がDX を強力に進めようとする問題意識の1つの背景はここにあります。

 

国外ではすでに進んでいるDX

もう1つ重要なことは、すでに諸外国ではDX が進みつつあるということです。DXの本質は、「変革による競争優位性の確立」にあります。ゆえに、諸外国でDXが進展すれば、その分だけ日本の競争優位性は低下します。かつてのIT革命と同様、この変革に遅れをとれば、なお一層の競争力の低下はまぬがれません。

 

1979年に社会学者のエズラ・ヴォーゲルが『ジャパン・アズ・ナンバーワン』を出版したとき、米国は双子の赤字に苦しんでいました。戦後の米国経済を牽引した製造業は競争力を失い、1980年代前半の失業率は10%に近い水準で推移していました。その米国が世界経済でのプレゼンスを取り戻すことができたのは、ITビジネスを中心とした次世代の成長産業が躍進したからです(図表4)。

 

[図表4]世界の時価総額ランキング[単位:億ドル]

 

DXは、世界経済にIT革命と同様のインパクトをもたらすことが予想されます。だからこそ、DXの推進は日本経済の命運を左右するといっても過言ではありません。日本のみならず、世界経済のDXをもリードするイノベーターが日本から出現することを期待しています。

 

 

小野塚征志

ローランド・ベルガー 

 

 

本記事は、小野塚征志氏の著書『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』(インプレス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

小野塚 征志

インプレス

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