記憶力が問われる資格試験を突破するには
■【相談1】記憶の基本的な考え方を知りたいです
山田さん(仮名)は30代のエンジニアです。大学は理工系の学部の出身です。
山田さんが理系の道を選んだのは、そもそも何かを暗記するというのがとても苦手ということがあったからです。これまで仕事上でも特に何かをたくさん暗記するという必要には迫られずに順調に進んできました。しかし、会社の方針で、今年から全員がある資格を取らなければならなくなりました。その資格を取ったか取らなかったかで、査定にも影響があるとのことです。
資格試験の内容を調べた山田さんは、思わず「何てことだ」と頭を抱えてしまいました。なぜなら、その資格試験に合格するためには、大量の知識を暗記する必要があったからです。
山田さんがイメージする暗記というのは、何度も繰り返しテキストを読んだり、ノートに内容を書き写したりと、どちらかというと力ずくで覚えることしか思い当たりませんでした。しかし、そこは理系です。冷静に分析したところ、仕事もしながらそのような方法で闇雲に勉強していっても非効率で、合格レベルの記憶量に達するのはなかなか厳しいという結論に達したのです。
山田さんは、楽に覚えられる魔法のような方法はないにせよ、せめて何か効率的に記憶するための基本的な考え方のようなものはないのだろうかと思いました。そして、まずはそれを知ることが先決だと考えました。
こうして、山田さんは私のところを訪ねてきたというわけです。
皆さんの中にも、この山田さんのように、会社の方針や自身のキャリアアップのために資格試験の勉強が必要な方も結構いるのではないでしょうか。そんな方たちに、記憶が必要な勉強に対して、認知心理学的に最初に頭に入れておいていただきたい考え方があります。私が山田さんにアドバイスした内容を皆さんにも紹介したいと思います。これを知っているだけで、暗記に対するアレルギーはだいぶ減ると思いますよ。
■【回答1】情報の形を変えましょう
よく考えてみると、個別には学生時代に、年表の「いいくに(1192)つくろう鎌倉幕府」や化学元素の周期表の「すいへーりーべ、ぼくのふね……」のような覚え方は教えてもらったことはありますが、記憶に関する総合的な考え方は教えてもらったことはありません。
もちろん、中には実際に自分で勉強してみて、効率的な覚え方を見つけた方もいるでしょう。しかし、山田さんのように、何かを覚えるという勉強は、ただひたすら読んで書いての繰り返しで頭に入れていくものと考えている方もいるでしょう。小学生時代、漢字などはドリルを使って何度も書き写す方法で覚えていったので、そのままの学習傾向が続いてしまっても仕方がないと思います。これは確かに、認知心理学でも存在している記憶の方策の1つでもあるのです。
認知心理学的には、何度も繰り返して頭に入れる方法を「維持リハーサル」とよびます。この方法でも、いつかは頭の中に定着させることができます。しかし、おわかりのとおり、手間と時間がとてもかかります。
そこで、記憶が必要な学習をするときには、もう1つの方策をとることをお勧めします。こちらは「精緻化」といいます。記憶が必要な勉強をする方は、まずこの考え方を頭に入れておくといいでしょう。
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