(※写真はイメージです/PIXTA)

「宇宙強国」を目標に掲げ、推進している中国に対して、アメリカも「宇宙軍を創設する。アメリカは宇宙を支配せねばならない」(元トランプ大統領)と引く気配はありません。米中の宇宙の覇権争いはどうなるのでしょうか。元・陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏が著書『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)で解説します。

元トランプ大統領が実現した米宇宙軍の実力

■ドナルド・トランプ政権の国家宇宙戦略

 

トランプ前大統領が2018年3月に発表した、国家宇宙戦略(National Space Strategy)は、米国が宇宙における覇権を死守することを宣言したものであり、その要点を紹介する。

 

・宇宙に関しては、米国の利益を最優先し、米国を強く、競争力があり、偉大な国家にする。

・米国の宇宙をめぐる足枷を取り除き、米国が宇宙サービスと技術において世界的なリーダーであり続けるための規制改革を優先する。

・宇宙における科学・ビジネス・国家安全保障上の利益を確保することが政権の最優先事項だ。

・米国の繁栄と安全にとって不可欠な宇宙システムの創造と維持において引き続き主導的役割を果たす。宇宙における米国のリーダーシップと成功を確保する。

・宇宙分野における「力による平和」を追求する。宇宙への自由なアクセスと宇宙での活動の自由を確保し、米国の安全保障、経済的繁栄、科学的知識を増進する。

・米国のライバルや敵が宇宙を戦闘領域に変えてしまった。宇宙領域に紛争がないことを望むが、それに対応する準備をする。米国と同盟国の国益に反する宇宙空間の脅威を抑止し、対処し、撃退する。

 

以上で明らかなように、トランプ前大統領の「アメリカ・ファースト」は宇宙にも適用される。

 

明らかに宇宙における覇権を追求しているからだ。〈科学・ビジネス・国家安全保障上の利益を確保することが政権の最優先事項だ。〉という記述は、米国のあらゆる分野における覇権宣言なのだ。この宇宙での覇権確立のための大きな一歩が米宇宙軍の創設だ。

 

■トランプ大統領の執念で実現した米宇宙軍の創設

 

最近の米国の宇宙事業における特筆すべきトピックはトランプ前大統領が主導した米宇宙軍の創設(2019年12月20日)だ。

 

宇宙軍の創設については、米軍内部から根強い反対があり、その創設に至る道のりは決して平たんなものではなかった。軍の要人らの反対意見は、「宇宙軍の創設は屋上屋を重ねるものであり、現在の体制で十分だ」というものであった。

 

トランプ前大統領は、軍の反対にもかかわらず宇宙軍の創設にこだわった。彼の狙いは、陸・海・空軍と同格の第六の軍種として宇宙軍を創設することにより「歴史に名を遺す大統領になる」ことだったが、それは達成された。

 

宇宙軍の創設の理由について、国防省が2019年2月に発刊した文書『米宇宙軍(UnitedStates Space Force)』には、〈宇宙は、米国人の生活と戦争を支えている。しかし、いまや宇宙は「戦闘領域」である。国防省は、宇宙への自由なアクセスおよび宇宙での活動の自由という死活的利益を確保するために措置を講じる。〉〈中国とロシアなどの脅威対象国との大規模な争いに、米国は勝利する体制をとる。新たな安全保障上の課題に対処するため、国防省は、空軍省のもとに宇宙に特化した新たな軍種を設置することを提案している。〉と記述されている。

 

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    本連載は渡部悦和氏の著書『日本はすでに戦時下にある すべての領域が戦場になる「全領域戦」のリアル』(ワニプラス)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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