仕組み・リスクが理解できない商品は買わない
次に、リスクの理解できない商品に投資するのは控えるべきです。株式の場合には、株価が上がれば儲かり、下がれば損するというだけなので、比較的わかりやすいのですが、債券の場合にはリスクがよくわからない商品が多数あります。
まずは、売りたいときに売れないリスクです。価格が暴落しているときに、売り注文が殺到する一方で、買い注文が出てこないことがあり、売りたくても売れないというリスクがあるのです。こうしたリスクは、小型株の場合にもありますが、社債などのほうがリスクは大きく、「仕組み債」と呼ばれるものは、とくにリスクが大きいようです。そのあたりのこともしっかり考えたうえで、投資するか否かを判断しましょう。
より大きな問題は、商品の仕組みがよくわからない商品に手を出すことです。「ノーベル賞学者が開発した金融商品で、複雑な数式を駆使して大儲けが狙えるように作ってあります」などという投資商品は、リスクがどれくらいあるのか理解できないでしょうから、手を出すのは控えたいですね。
「リバース・デュアルカレンシー債」などといった商品も、よほど金融取引に詳しい人でなければ手を出さない方が無難でしょう。
商品自体の仕組みは理解できても、そのリスクがどれくらいあるのか理解できない場合には、やはり投資は控えた方が無難でしょう。たとえば「この債券は、投資家に高い金利を支払います。ただし、トヨタの株価が半分になった場合には、満期に現金で償還するのではなく、トヨタの株券を1枚差し上げます」というようなものです。
トヨタの株価が半分になる確率を初心者が予想することは難しいでしょうから、これも避けたいですね。さらにいえば、プロが確率を計算したうえで、本来払うべき金利より低い金利を払う約束をしている、という可能性も決して小さくありませんから。
余談ですが、筆者なら、そんな債券を買うよりも、トヨタの株を買います。それなら、5割値下がりするのと同じ確率で5割値上がりするチャンスがありそうですから。
気づかずに「手数料の高い商品」を買っているかも…
リスクのわからない投資商品を買うのと比べれば、重要度は小さいのかもしれませんが、気づかずに手数料の高い商品を勧められて買ってしまう人も多いようですから、気をつけましょう。
たとえば、投資信託の手数料には「購入時に1回だけ払うもの」と「持っている間は毎年払い続けるもの」があります。入会金と年会費のようなものですね。そこで、入会金をゼロにして「手数料がお得です!」という宣伝をしておいて、高い年会費を取って儲けよう、という商品もあるようです。
金融機関は顧客の利益を第一に考えるはずですが、実際には手数料率の高い商品を勧める場合も少なくないといわれています。金融機関に勧められた商品をそのまま買って高い手数料をとられるのも自己責任ですから、しっかり自分で判断したうえで買うか否かを決めたいものです。
ちなみに、退職金が預金口座に振り込まれると、銀行が急に丁重に支店長室に通してくれたりするかもしれません。「支店長に直接頼まれるなんて初めてだ」などと舞い上がったり、あるいは「支店長直々にご依頼いただいたのに断るのは恐縮だ」と思ったりして、よく考えずに多額の投資信託を購入してしまう場合もあるようですが、それも自己責任です。
そこで一呼吸置いて考えたいのは、「銀行は、あなたを大事だと思って支店長室に通したのではなく、あなたの退職金に頭を下げているだけだ」ということですね(笑)。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
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塚崎 公義
経済評論家
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