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賃貸マンション経営の成否を左右する「管理会社」の選び方

前回は、空室率よりも入居者回転率を重視すべき理由を説明しました。今回は、賃貸マンション経営の成否を左右する「管理会社」の選び方を見ていきます。

問題点の多い「仲介管理一体型管理会社」とは?

満室稼働している場合、それで満足せずに回転率を下げる対策を継続して行い、平均入居期間を延ばす努力が求められます。退去(回転率)を減らせば、空室損失を最小限に抑えることができます。

 

では入居者の退去を少なくするためにはどうすればいいのでしょうか。昔ながらの管理会社の多くは、残念ながら入居者回転率を下げるための対策を積極的にオーナーに提案することはほとんどありません。理由は、賃貸業界の成り立ちが影響しています。

 

日本の賃貸業は「仲介」から始まり、40年ほど前になってから「管理業」が生まれたという歴史的背景があります。もともとは仲介業務を行っていた不動産業者が、オーナーのニーズを受けて管理業にも携わるようになったのです。「仲介」と「管理」を兼業する管理会社を、一般に「仲介管理一体型管理会社」と呼びます。

 

仲介から始まった管理会社の多くが「仲介管理一体型」となり、大きな矛盾が生じるようになりました。入居者と管理会社からともに手数料を受け取ることになるため、入居者の立場と、オーナーの立場の双方に立って業務をしなければならなくなったからです。

 

ここまで仲介管理一体型管理会社の利益構造や問題点を必要に応じて触れてきましたが、ここで改めてまとめておきたいと思います。

 

まず「仲介業務」は、入居者が希望する条件に合った部屋を仲介する仕事です。紹介した部屋を入居者が気に入って契約が決まると、仲介業者は入居者から家賃1か月分に相当する「仲介手数料」をもらいます(下記の図表参照)。すなわち仲介業務は、入居者の利益を優先した仕事ということになります。

 

一方の「管理業務」は、オーナーが所有する物件の賃貸経営全般を代行する仕事です。管理会社はオーナーから月々「管理費」をもらって業務を行います。すなわち管理業務は、オーナーの利益を優先した仕事ということになります。

 

このように、仲介と管理の両方を自社で請け負う「仲介管理一体型」の管理会社の場合、入居者とオーナーの両方の利益について代弁する立場となってしまうのです。

 

[図表]仲介管理一体型の管理会社

 

たとえば、入居者が「家賃を下げてほしい」と希望したとします。入居者の利益を代弁する仲介業者の立場としては、オーナーに家賃の値下げ交渉をすることになります。しかしオーナーの利益を代弁する管理業者の立場としては、できる限り家賃を下げない方向で入居者と交渉することになります。

 

仮に家賃を下げると、オーナーの利益を減らして入居者の利益を確保することになる。反対に家賃を維持すれば、入居者の利益を減らしてオーナーの利益を確保することになる。仲介と管理を同時に請け負うと、入居者とオーナーの板挟みになり、利益相反の関係となってしまうのです。

 

管理会社の本来の役割に徹し、オーナーの利益を拡大するためには、できる限り「高い家賃」で「早期に空室を埋める」対策を行い、「満室を維持」し、「家賃回収率」を高める必要があります。さらに、前述のように退去が発生すると最低でも家賃5か月分の空室損失が発生するため、「入居者回転率」を下げるために退去の抑止対策も不可欠です。

オーナーの立場で動く「PM型管理会社」がオススメ

しかし、ここが最大の問題です。仲介業者の立場では、入居者の退去は潜在的には歓迎すべきことになってしまうのです。手数料を再度稼ぐことができるわけですから、積極的に退去を抑止しようという意識は働きません。

 

退去の抑止は、英語で「テナント・リテンション」と呼びます。プロパティマネジメントが確立しているアメリカでは、テナント・リテンションは大変重視されています。退去を減らすことはオーナーの利益増に直結するため、「どうすれば入居者にもっと長く住んでもらえるのか」を考えた経営を重視するのです。

 

そもそも不動産先進国のアメリカでは、入居者から仲介手数料をもらう習慣はありません。入居者の利益を代弁する必要はなく、管理会社はオーナーと同じ立場で管理物件の利益最大化を目指すことができます。

 

このアメリカの事例に倣い、日本の管理会社も理想的には仲介業務と管理業務は別の会社で行わなければなりません。仲介から始まった会社は仲介専業、管理を行う会社は管理専業。そうして業務を切り分けることで入居者の利益、オーナーの利益をそれぞれ優先した矛盾なき事業運営が可能となります。

 

PM型管理会社が文字どおりの管理業務に特化することで、オーナーと同じ立場で、オーナーの利益を向上させるためのあらゆる手立てを打てるようになります。

 

ここでのポイントは、オーナーの利益を追求することは、PM型管理会社の利益を追求することと同義であるという点です。オーナーの利益(EGI)が増えることで、管理会社にとっては収入(管理費)アップにつながるからです。

 

勝ち残る賃貸マンション経営のためには、純粋にオーナーの立場で動いてくれるPM型管理会社に物件の管理(経営)を委託するのが重要となります。

株式会社ツインライフ 専務取締役

1977年大阪市生まれ。12年間、大手デベロッパー・ハウスメーカーの最前線で商業ビルの開発や分譲マンションオーナーの経営コンサルティングに従事。後、そのノウハウを賃貸マンション管理業界に持ち込み「0円賃貸スキーム」を開発する。それまでに磨き上げてきたプロパティマネジメントと融合させ、独自の賃貸物件管理手法を構築。所有と経営を分離化する経営代行管理システムで、賃貸物件の収益力を改善。収益力の低い物件を持つ悩めるオーナーたちから相談を受け、多くの不動産物件の収益改善を実現しながら「0円賃貸」を使った集客力の高い新たなスキームを業界に打ち出している。自身も賃貸物件を複数所有しており、「キャッシュフローを最大化する」満室経営を実践している。

著者紹介

連載不動産投資で長期安定収益を得る「13のテクニック」

本連載は、2015年12月10日刊行の書籍『入居希望者が殺到する驚異の0円賃貸スキーム』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

 

 

入居希望者が殺到する 驚異の0円賃貸スキーム

入居希望者が殺到する 驚異の0円賃貸スキーム

池田 建学

幻冬舎メディアコンサルティング

大家が抱える最も悩ましいリスクは空室だが、これまで賃貸不動産で客付けをしようと思えば、「家賃を下げる」「リノベーションなどをして付加価値をつける」「広告料を仲介会社に多く払う」方法しかありませんでした。 にもか…

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