税務的側面から見た不動産価格
■土地は「路線価」、建物は「固定資産税評価額」で評価
続いて、税務的な側面から見ていきましょう。相続税の申告にあたっては、相続不動産は税務的な側面で考えなくてはいけません。
法律的な側面では、相続人どうしの話し合いによって自由に設定可能でしたが、相続税申告にあたっては明確な基準があります。相続税申告上での財産の評価方法は、土地であれば路線価額、建物であれば固定資産税評価額を用います。
路線価額も固定資産税評価額も先ほどご説明した通りですね。
建物であれば、固定資産税評価額として具体的な数字がパッと出てくるので、すごくわかりやすくて簡単です。自分自身で算出する必要はなく、納税通知書に記載されている評価額をそのまま申告すればOKです。
一方の路線価は、先ほども申し上げましたが、形状や評価方法が少々難しいのです。旗竿地であったり、道路と三面で接していてそれぞれの路線価格が違っていたりすると、計算方法がややこしくなります。また、借地権のある土地などもきちんと評価しなくてはいけません。これらの場合、一般の方々が路線価を算出するのは難しく、基本的には税理士に依頼すべき領域です。
おおよその路線価を算出する方法
不動産価格の出し方によって納税額も変わりますから、やはりプロに任せるのが一番大事かなと思います。
ただ、「そもそも相続税を納めなければならないほどの財産規模なのかどうなのかわからないので、おおよその路線価を知りたい」というニーズもあるでしょう。
そこで、最後に「概算路線価の出し方」を紹介したいと思います。これはプロの税理士も使う方法です。
概算路線価は、以下の計算式で算出します。
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①土地の固定資産税評価額÷0.7=A(概算実勢価格)
②A×0.8=概算路線価格
※税理士も概算で出すときはこの方法を用いるが、あくまで参考価格であることに留意。
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まず、土地の固定資産税評価額を0.7で割ります。なぜ0.7で割るのかというと、「固定資産税評価額は実勢価格の70%相当」といわれているためです。固定資産税評価額を「÷0.7」で割り戻すことで、概算の実勢価格を出すことができるというわけです。この概算実勢価格をAとします。
次に、Aに0.8をかけます。なぜ0.8をかけるのかというと、「実勢価格の80%相当が路線価」といわれているからです。先ほどの計算で出した概算実勢価格に0.8をかけることで、概算の路線価格が出てくるというわけです。
これは税理士の方も概算路線価格を出すときに実際に使っている方法です。
ある程度の財産規模がある方は、建物には固定資産税評価額を当てはめ、土地に関しては上記の計算方法を用いることで全体の財産を算出し、相続税の申告が必要かどうかを考えていただければと思います。
【動画/遺産分割協議をするときの相続不動産価格の決定方法】
佐伯 知哉
司法書士法人さえき事務所 所長
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