(※写真はイメージです/PIXTA)

相続不動産の価格はどのように決まるのでしょうか? 司法書士・佐伯知哉氏(司法書士法人さえき事務所 所長)が、法律的側面と税務的側面の両面から解説します。

法律的側面から見た不動産価格

■なぜ相続不動産の価格を決定するのか?

ではさっそく、法律的な側面のほうから見ていきましょう。

 

相続が発生した際、相続人が複数いる場合には「遺産分割協議」を行って、不動産や預金、株といった遺産を分けていくことになります。このとき、もし平等に分けたいと考えていても、それぞれの金額が分からないと、本当に平等に分割できているのかがわかりませんよね。

 

そこで遺産分割協議の際、どのように分けようかと話し合うための前提として、まずは法律的な側面として価格を調べて自分たちで算出する、ということが必要になるわけです。

法律的側面から見た相続不動産の評価方法

■相続人全員の同意によって自由に設定可能

遺産分割を行うにあたっての相続不動産の価格は、原則、“相続人全員の同意によって自由に設定可能”となっています。不動産価格の算出方法はいろいろありますが、要は相続人が全員合意していれば「この金額でやらなければならない」という決まりは特にないということです。

 

たとえば遺産として預金と不動産があって、これを相続人Aさん・Bさんとで分けることになったとしましょう。このとき、不動産に比べて預金のほうが明らかに価値が少なそうであっても、不動産と預金を同価値とみなして「Aさんは不動産を、Bさんは預金を相続する」という分け方をしても問題ありません。自由に決定していいことになっています。

 

相続税申告にあたっては、遺産分割の方法によって相続税に多寡が生じるものの、遺産分割協議を行うにあたっては「Aさんはいっぱい相続して、Bさんはあまり相続しない」というのも認められます。

 

たとえば被相続人に子供が2人(長男、次男)がいたとしましょう。この2人は相続人としては同じ立場ですので、法律上の相続分(=法定相続分)もそれぞれ50%となっていますが、必ずしも「法定相続分どおり50%ずつ分けなければいけない」というわけではありません。2人が合意していれば、その合意に沿って自由に分けてよいことになっています。

 

ただ、相続人たちが自由に分けてよいといわれても、何か参考になる基準がないと…と思う方も少なくないでしょう。そこで、次に当事者間で合意する以外の評価方法をお伝えします。

次ページ「相続人の合意で決める」以外の評価方法

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