(※写真はイメージです/PIXTA)

相続不動産の価格はどのように決まるのでしょうか? 司法書士・佐伯知哉氏(司法書士法人さえき事務所 所長)が、法律的側面と税務的側面の両面から解説します。

きっちりやるなら「鑑定評価」

一番きっちり算出したい場合は、「鑑定評価」を使います。この方法では、不動産鑑定士とよばれるプロに金額を出してもらいます。

 

遺産分割協議がまとまらなかった場合は裁判所で遺産分割調停を開くことになるのですが、遺産分割調停で不動産価格を出すときもこの評価方法が用いられます。

 

そのような公的な場でも用いられることから、鑑定評価は一番きっちりした方法となります。

 

ただ、プロに不動産評価を依頼する以上は報酬を支払わなくてはなりません。数十万円単位のお金がかかりますので、鑑定評価を検討する際にはまず、そこまでして不動産価格をきっちりと出したいのか、もう少し簡易な方法で出してもいいのかという2つの選択肢が生じることになります。

 

<鑑定評価>

●不動産鑑定士に出してもらう評価方法

●もめたときに家庭裁判所で採用するのも鑑定評価

●鑑定士への報酬が必要

 

不動産価格をきっちりと出したいのであれば鑑定評価が最もオススメですが、「数十万円のコストをかけるまでではないな」という場合もあるはずです。では、他にどのような評価方法があるのでしょうか? 以下で比較的に簡易な方法を3つほどご紹介します。

比較的簡単な方法①固定資産税評価額を使う

これは明確に数字が出ているので、わかりやすい方法です。

 

毎年4月や5月頃になると、市区町村役場から「固定資産税を払ってくださいね」という通知が来るのですが、この中に「不動産の課税明細書」という書類が入っています。そこに不動産価格が一覧で載っているので、その価格を基準に相続不動産の価値を見定めていくという方法です。

 

固定資産税評価額は、実際に流通している不動産の売買で用いられる価格とはやや異なり、一般的に低く算出されています。そのため不動産と他の遺産を対比する場合には適しません。

 

たとえば「A不動産とB不動産をそれぞれ固定資産税評価額で評価する」など、不動産どうしを比べて価値の大小を決める場合には、この評価方法では平等に算出されると考えられるでしょう。

 

ところが「現金1000万円と不動産」ではどうでしょうか。現金1000万円にはもちろん1000万円の価値がありますが、先ほども述べたように、固定資産税評価額は一般的に低く算出されています。

 

固定資産税評価額を使う方法は、数字が明確に出るため非常にわかりやすい一方で、他の遺産と対比して考えるときはあまり適さない場合もあるという点は押さえておきましょう。

 

<固定資産税評価額>

●固定資産税を算出する基礎となる金額

●実勢価格(世間一般で流通している価格)よりも低い場合がある

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