(※写真はイメージです/PIXTA)

早稲田大学名誉教授・浅川基男氏の著書『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』より一部を抜粋・再編集し、各国と比べた日本の「ものづくり」に対する「人材投資」の現状について見ていきます。

優秀な学生が「日本の大企業」を見限りつつあるワケ

最近、学生時代から自分なりの考えや、思いをもった優秀な若者が、大企業を見限りつつあることをご存じであろうか?

 

退職せざるを得なかった彼らは、自分なりの「思い」があり、主張があり、改革の意欲がある人物ばかりだ。

 

多くの大企業では、優秀な若者の思いを受け入れる余裕や度量がないため、「もうやってられない」と、転職しつつある。

 

A君は、X社において、極めて優秀で3年間米国の大学に留学した。帰国後、満を持して様々な提案をしたところ、「君だけ特別扱いできない」といって、取り合ってもらえず、やむを得ず外資系のコンサルタント会社に転職してしまった。

 

B君はY社3年目にして社長賞をもらうほどの有能なエンジニアであった。

 

あるとき海外での事業展開を提案し、自分がそこに行って活躍したいと願い出ると、「君だけ特別扱いできない」と言われ、もう我慢の限界に来たと会社を辞し、今は海外で活躍している。

 

C君はZ社3年目、いろいろな技術に携わった後、自分の所属する組織の改革について提案したところ、「入社3年目でそのような提案はまだ早い」と言われ、これでは何を提案してもダメと悟り、ベンチャーに転職した。

 

そのベンチャーの社長(米国有力工科大学出身で日本語堪能な米国人)から、入社時に5時間にわたり個人面談された。「人材こそが企業のいのち」と熟知しているのだ。

 

今日本は、穏やかで普通になりたい一般の若者と、大過なく過ごしたい大企業の双方にとって、「思い」を主張することは「やっかいなこと、面倒なこと」として避けられ、その風潮が蔓延、指示待ち人間を増やす結果にもなっている。

 

株主総会をシャンシャンと終わらせる企業に将来はない。

 

「何を言っても動かない会社」が若者には見透かされ、伝統に安住している大企業が、今危ない!

 

 

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浅川 基男


1943年9月 東京生まれ
1962年3月 都立小石川高校卒業
1968年3月 早稲田大学理工学研究科機械工学専攻修了
1968年4月 住友金属工業株式会社入社
1980年5月 工学博士
1981年5月 大河内記念技術賞
1996年4月 早稲田大学理工学部機械工学科教授
2000年4月 慶應義塾大学機械工学科非常勤講師
2002年4月 米国リーハイ大学・独アーヘン工科大学訪問研究員
2003年5月 日本塑性加工学会 フェロー
2004年5月 日本機械学会 フェロー
2014年3月 早稲田大学退職、名誉教授
著書:基礎機械材料(コロナ社)ほか

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『日本のものづくりはもう勝てないのか!?』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。
※「障害」を医学用語としてとらえ、漢字表記としています。

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