(写真はイメージです/PIXTA)

相続によって「空き家」を承継した際、今後も誰も住む予定がなく売却する場合には、税金対策できる特例があると相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士はいいます。どのような特例か、詳しく解説します。

「空き家特例」適用の要件

空き家特例の主な要件は、以下のとおりです。

 

1.被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等であること

 

2.相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

 

3.昭和56年5月31日以前に建築された建物であること

 

4.相続時から譲渡時まで「空き家」であること

 

5.売却代金が1億円以下であること

 

6.相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却したこと

 

7.次のア又はイの売却をしたこと

 ア .相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋を売るか、被相続人居住用家屋とともに被相続人居住用家屋の敷地等を売ること

 イ .相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に被相続人居住用家屋の敷地等を売ること


空き家特例の詳しい要件については、下記国税庁のHPをご参照ください。なお、空き家特例は、区分所有建物には適用できませんので、ご注意ください。また、こちらの特例は、適用期限があり、令和5年12月31日までに売却した空き家についてのみ適用できることとなっております(令和4年2月時点)。今後、適用期限が延長される可能性もありますが、適用期限についても十分ご注意ください。

参考:国税庁HP「No.3306被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

被相続人が施設に入所している際の特例適用の要件

被相続人が老人ホーム等に入所して、被相続人の居住の用に供されなくなった居住用家屋等について、一定の要件を充たす場合には、特例が適用されます。

 

1.被相続人が老人ホーム等に入居する直前において要介護認定又は要支援認定等を受けており、養護老人ホーム等の施設などに入居又は入所していたこと

 

2.入居時から相続開始の直前まで家屋が被相続人の物品の保管その他の用に供されていたこと

 

3.入居時から相続開始の直前まで空き家となった家屋が事業の用、貸付の用又は当該被相続人以外の居住の用に供されていたことがないこと

 

4.その家屋が、昭和56年5月31日以前に建築されたこと

 

5.区分所有建物登記がされている建物でないこと

 

6.被相続人の居住の用に供されなくなる直前において被相続人以外に居住をしていた人がいなかったこと

 

※参照:国税庁HP「No.3307被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人の居住用家屋」

空き家特例の注意点

空き家特例については、上述のとおり、要件が多く、適用の可否によって税金が大きく変わりますので、必ず事前に弁護士や税理士に相談するようにしましょう。また、空き家特例だけでなく、各種特例を活用するためには、税金面に加え、スムーズに遺産分割を行うことも重要です。

 

税金のみならず、遺産分割についても弁護士等に相談をして、スムーズに手続きを行うことができるよう、対策をとることも検討しましょう。

 

まとめ

空き家特例は、適用できるか否かによって税金が大きくかわりうるものになります。なるべく事前に弁護士や税理士に相談をして、空き家特例が適用できるよう、生前の相続対策や相続発生後の遺産分割を進めるようにしましょう。

 

 

堅田 勇気

Authense法律事務所
 

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