若手キャリア官僚の退職者「43.4%増」という現実…
人事院が調査を実施している『令和3年 国家公務員給与等実態調査の結果概要』によると、行政事務を行う職員の平均給与月額は40万7,153円(平均年齢43.0歳)となっている。また、このうち残業代は含まれていない。
人事院はまた、今年5月に初めていわゆる「キャリア」と呼ばれる総合職の退職状況を発表した。それによると、2020年度の在職10年未満の若手の退職者数は109人となり、13年度の76人から43.4%増えたという。
また国家公務員28万人ほどのうち、20年度に超過勤務の上限を超えた職員の割合は8.7%で、前年度より1.6ポイント増加したとの調査結果も公表した。
これまで「公務員は安定していて給与も高く、残業も少ない」と考えていた人は多いと思うが、実態はどうなのだろうか。まずは国家公務員のリアルな給与を年齢別・職種別に見ていこう。
約33万円~約102万円まで。職種別に見た国家公務員の給与
国家公務員の給与は「俸給」と呼ばれ、「俸給表」に基づき細かく定められている。職種によって使用する俸給表が異なり、それに応じて年収も異なる。
以下は、『令和3年 国家公務員給与等実態調査の結果』をもとに、国家公務員のおもな職種別平均年収を算出したものだ。
国家公務員の職種別平均給与
職種に応じて俸給表が異なり、年収が大きく異なることがわかる。とくに事務次官、本府省局長、審議官等の平均給与月額は約102万円で、桁違いだ。
初任給約22万円。圧倒的な年功序列制…
国家公務員の年齢別平均給与
国家公務員は、基本的に勤続年数によって収入が上がる年功序列制となっている。
表を見れば分かるように、大学を卒業したばかりの20代前半では、給料は22万円に満たない程だ。厚生労働省の『賃金構造基本統計調査』によると、大卒の初任給平均は22万5,000円程度なので、それほど高くないことが分かる。
例えば内閣官房内閣人事局が発表している『国家公務員の給与』内にある国家公務員の年間給与(モデル給与例、2021年度)によると、同じ係長でも25歳と35歳では35歳の方が100万円以上、年収は高くなっている。
国家公務員の多くは、有名難関大学を出ているエリートたちだ。彼らにとって、コンサルや商社といった大企業で働いている同年代と比べてしまうと、どうしても額面の面では劣ってしまう。
たとえば三菱商事の平均年収は、有価証券報告書から「1,678万3,874円(平均年齢42.7歳)」であることがわかっている(※)。
※有価証券報告書の年収には残業代およびボーナスも含まれていることが多い。
それでも国家の未来を担うという大きなやりがいから、国家公務員、官僚の世界に入った若手がこれまでは多かっただろう。
人々の生命や財産に関わる自然災害や新型コロナ対策の対応に追われ、激務で責任の重い実態が大きく報じられた昨今。また、特に大手企業やIT企業などでは業務の効率化が急速に進む中、持続可能な働き方とは思えないやり方に疑問を持つ若手も多いのではないだろうか。
お金ではないやりがい、「この国のために」という想いを持って国家公務員となった若手エリートたちが、長く安定して働ける環境が整うことを祈るばかりである。
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