(※画像はイメージです/PIXTA)

親が認知症になり、介護しなければならなくなった場合、経済的・心理的負担はきわめて重くなります。特に、介護のために仕事を休まなければならなくなった場合、大幅な収入減のリスクがあります。また、最悪の場合、介護のために離職しなければならないケースも考えられます。そこで、介護離職を避けるために活用すべき重要な公的保障の制度について、「給料の3分の2」をもらえる方法を中心にお伝えします。

給料の3分の2がもらえる!介護休業給付金の制度と受給要件

1つ目の制度は、介護休業給付制度です。

 

介護休業給付制度とは、雇用保険制度の中身の一つとして、家族の介護のためにある程度の期間にわたって仕事を休む場合に給与の3分の2(約67%)を受け取れる制度です。

 

たとえば、給与の月額が平均30万円の場合は20万円程度が支給されます。

介護休業給付金を受けられる対象となるケースとは?

介護休業給付金は、雇用保険の被保険者が、以下の2つの条件をいずれもみたす場合に、介護の対象となる家族1人あたり93日を限度に、計3回まで受給することができます。

 

1.常時介護を2週間以上必要とする状態にある家族(事実婚状態も含む配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫)を介護するための休業

2.期間の初日と末日を明らかにして事業者に申し出を行う

 

間違いやすいのが「2週間」という数字です。これは、その家族が「常時介護を必要とする状態」の期間が2週間以上だという意味です。休業する日数については2週間未満でも差し支えありません。

 

たとえば、家族の介護をするために2人で合計14日間以上取得する場合や、自分以外の人に数日間だけ代わりに介護を頼む場合も認められます。

 

常時介護を必要とする状態は、以下のいずれかです。

 

・要介護2以上の認定を受けている

・【図表1】の状態(1)~(12)のうち、「2」が2つ以上、または「3」が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続している

 

厚生労働省HPより
【図表1】常時介護を必要とする状態の判断基準 厚生労働省HPより

 

認知症の場合、これらのうち、主に「(7)意思の伝達」、「(8)外出すると戻れない」、「(9)物を壊す、衣服を破る」、「(10)周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れ」、「(12)日常の意思決定」等が関係してくると考えられます。

 

なお、「93日」という期間は、介護に関する長期的方針を決めるために必要な期間と想定されています。

 

また、介護休業は法律上の制度ですので、勤務先の就業規則に規定されていなくても、要件をみたせば取得でき、介護休業給付金を受け取ることができます。

 

すなわち、労働者から介護休業を取得する旨の申し出があった場合には、勤務先は拒否できません。また、介護休暇の取得を理由として不利益な扱いをすることも禁じられています。

介護休業給付金の受給資格は?非正規労働者も利用できるか?

介護休業給付金の受給資格の要件は、正社員と非正規雇用の労働者(パート、アルバイト、派遣社員など、期間の定めのある労働者)とで異なります。

 

以下の通りです。

 

1.正社員:引き続き雇用された期間が1年以上

2.非正規雇用の労働者:労働契約の期間が、介護休業開始予定日から93日経過日から6ヵ月後までに満了することが明らかでない

 

なお、非正規雇用の労働者については、以前は正社員と同様に「引き続き雇用された期間が1年以上」の要件をみたす必要がありましたが、制度の改正により、2022年4月1日からこの要件が撤廃されています。

 

これにより、非正規雇用の労働者は、少なくとも制度上は、介護休業の制度を利用しやすくなったといわれています。

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