(※画像はイメージです/PIXTA)

国税庁は2022年8月1日、サラリーマンの副業による収入について、10月3日以降、収入300万円以下は原則として「事業所得」と認めず「雑所得」と扱う方針を打ち出しました。もし実現すれば、事業所得のメリット(青色申告に伴う特典、損益通算等)が得られなくなり、実質的な増税になることがあります。そこで、有効な対策として注目されつつあるのが、副業を法人化する「プライベートカンパニー」「マイクロ法人」です。そのメリットについてシミュレーションもまじえながら解説します。

プライベートカンパニー設立のメリットとは?

プライベートカンパニーを設立する最大のメリットは、青色申告にすることで、副業を個人事業主として行うよりも、税金を抑えられる可能性が高いことです。

 

主な理由として挙げられるのは、以下の4つです。

 

1.家族に所得を分散しやすい

2.経費にできる費用の幅が広い

3.赤字が出たら他の年度の利益から差し引くことができる

4.法人のほうが所得にかかる税率が低い

 

第一に、家族に所得を分散しやすいということです。たとえば、配偶者を役員または従業員にして、役員報酬や給与を支払えば、会社の経費(損金)になります。

 

また、自分自身の所得として申告するよりも、親族に給与を支払ったほうが、所得税の累進税率が抑えられることになります。

 

第二に、経費にできる幅が広くなることです。

 

すなわち、個人の場合は必要経費と認められる範囲が、その個人が収入金額を得るために必要な費用に限られています。しかし、法人化すると、業務を行う役員・従業員は法的には会社と別人格とみなされますので、その役員のために支払った対価等を会社の必要経費として認めることができるのです。

 

一例を挙げると、役員社宅です。これは、会社が家を借りて賃料を払い、役員に割安な転貸料で住まわせるという方法です。転貸料の相場は賃料のだいたい50%といわれています。

 

会社の経営に必要なメンバーである役員のための住居を割安に提供しているということで、賃料は会社の必要経費(損金)になります。なお、会社が役員から受け取った転貸料は会社の雑収入(益金)になりますので、実質的にはそれを差し引いた分が経費になるということです。

 

また、役員個人は賃料を半分しか負担しなくてすむので、個人の実質的な手取りを増やすことができます。

 

法人特有の計上可能な経費としては、他に、以下のようなものがあります。

 

・社有車のガソリン代や維持費(本体の購入費用は減価償却費として計上可)

・出張手当

・法人で加入した生命保険や医療保険の保険料

 

第三に、会社だと、赤字が出たら、他の年度の会社の利益から差し引くことができます。「繰り越し控除」「繰り戻し還付」の2パターンがあります。

 

「繰り越し控除」は、次年度以降10年間に発生する黒字から差し引くことができるというものです。

 

これに対し、「繰り戻し還付」は前年度が黒字だった場合に差し引くことができるというものです。

 

第四に、これはケースバイケースですが、法人の所得にかかる税金の実効税率は、個人よりも低くなっているので、同じ副業からの所得について、法人で納税申告するほうが有利になる可能性があります。

 

このことについては、以下、シミュレーションをまじえて説明します。

 

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