「〇〇専門」、手術件数に惑わされるな
美容医療の世界ではまだまだ技術発展途上の分野も多く、一方で大学病院や形成外科専門医でさえ失敗や古い技術が横行しています。医師が間違っていても誰も正さず、医療被害者が増加の一途を辿っています。
特に美容に限らず外科の世界は元来より技術格差が著しく大きい世界です。それでいて技術の本丸はライバルには教えられず、特許も取得できず、新人医師が充分に技術習得しない内に安易に開業できる背景もあり、この業界は技術カオスが色濃くなる一方と感じています。
上記は、笑顔時のほうれい線と口角の広がり方に左右差があった症例です。4Dデザイン吸引を施しましたが、他院で一度脂肪吸引をされたことがあったため、線維化による癒着やしこりが各所に多発していて多少難易度が高い手術でした。
しかし、事前に予見できていたため、それらの癒着やミクロ蜂窩状の線維塊を解除しつつ、余分な取り残し組織を除去し、均一な厚みに仕上げた後、表情筋群の筋膜に(襖を張り替えるかの如く)固定できれば、上記「AFTER」のようなキレイな仕上がりになります。たった一回の手術で、皮下組織の状態を全範囲見極めながらの繊細な吸引技術が問われます。
〇顔面脂肪吸引 リスク・問題点・合併症
- 合併症や副作用
局所麻酔の副作用は、アレルギー、麻酔中毒、痛み、腫れ、内出血
線維化による癒着、凸凹、シコリ、ツッパリ感
傷跡は各吸引部位に1~2箇所ずつ直径3~4mm
- ごく稀な合併症
血腫、感染(化膿)、排液貯留、凹凸、タルミ、肥厚性瘢痕、数週間~数ヵ月続く神経鈍麻
こうしたリスクの伴う、高い技術力が必要となる手術では特に、腕の良い医師に担当してほしいと思うのが通常の心理です。しかし、意外に思われるかもしれませんが、表向きの「〇〇専門」や肩書き、留学歴、手術件数さえも技術レベルや手術マッチング度を正確に計るモノサシにはなりません。
以前、私は或る形成外科専門医に約2年もの間、埋没法や脂肪吸引を丁寧に指導しましたが、結局彼は何一つ満足にできず、医療事故を起こしかけても看護師のせいにして反省の色もなく、「もっと患者のお代わりをくれ」と言ったので破門にしたことがありました。生命や無二の身体を医師に託す以上、その医師の専門性や権威そのものの属性と本質を見抜かなければならないのです。
2020年12月、私が理事長を務める医療法人「美来会」は東京麻布に「他院修正専門医院CLINIC NINE FIELDS」を開院しました。切開瘢痕、人工物挿入後トラブル、不溶性フィラー注入、健康被害や醜形、不適応ミスマッチ手術、紋切型施術、医原的疾患、副作用だらけのAGA治療、広告やHPとは異なる高額請求等、おびただしい患者様の心の叫びを聞くにつけ、美容医療に携わる医師の多くが、自分のやりたい様にしかやっていない実態が伺えています。
ナルシスト医師等…失敗されないための要注意ポイント5つ
美容医療における失敗とは、①ご希望と術式のミスマッチ、②理想と結果のギャップ、③手術自体のリスクや合併症、④アフターケアが至らないこと、⑤医療過誤や医療事故等に大別されます。具体例や対策などの詳細は各論にて述べて参りますが、ごく初歩的な「鑑別ポイント5つ」を下記にご案内します。
1.美容整形や形成外科の世界では、担当医ごとに返答内容(術式や組合せ法、御見積金額等)が悉く異なります(カウンセリングが短時間か別担当者なら論外です)。合併症の種類や程度と、万一の場合はどうフォローしてもらえるのかを事前に説明されていなければ、手術を受けてはならないでしょう。
2.仮に話を聞いてくれても御本人様のご希望を巧妙にすり替えるか、頭ごなしに「(この方法でないと)できない」と言われるか、選択肢が限られている場合や決めつけで言うナルシスト医師には要注意です。