(画像はイメージです/PIXTA)

節税対策の情報が溢れかえる現代で、どこから手を付ければよいかわからない経営者も少なくないでしょう。消費税に関わる「インボイス制度」施行が迫り、「電子帳簿保存法」の改正が起こるなか、「本当に税を節約できる」方法や、やってはいけない節税対策について、冨田健太郎氏・葛西安寿氏の著書『【新版】小さな会社が本当に使える節税の本――ひとり会社・零細会社・中小会社まで使える!』(自由国民社、2022年8月30日発売)から一部を抜粋してご紹介します。

電子データは改ざんのリスクがある

電子帳簿保存法の大幅な改正により要件が緩和され、デジタル化に取り組みやすくなりました。しかし、電子データは紙資料に比べると複製や改ざんを容易にできてしまうというリスクがあるため、違反した場合の罰則が厳しく定められています。

 

導入する際には、罰則についても把握が必要です。

重加算税に10%加算、青色取消のリスクも

データの隠蔽や仮装された事実があった場合には、通常課される重加算税に10%が加算されます。さらに、青色申告が取り消されてしまう恐れがあり、そうなると金融機関や取引先からの信用を失うかもしれません。

 

いったん青色申告が取り消されると、再申請ができない期間は白色申告になりますが、税額控除や繰越欠損金の制度が使えないなどのデメリットが生じるだけでなく、税務署から推計課税をされるリスクも高まります。

 

また、青色申告の再申請の際は、初回申請時とは異なり、帳簿書類の提出を求められたり、実際の経理業務をどのように運用しているか説明を求められたりして、手続きがとても煩雑になる可能性があります。

 

こうした罰則は故意で隠蔽や仮装をした場合のものですが、データを保存する際にうっかり要件を満たしていなかった、ということも実務では起こり得るでしょう。そのような場合には厳しい措置を取られる可能性は低く、指導に留まるだろうと考えられます。

 

ただし、たとえ指導で留まるとはいえ、ルールは守るべきものです。改正された電子帳簿保存法の内容を確認して、来たる税務調査に備えましょう。

 

「電子帳簿保存」と「スキャナ保存」については任意の導入ですが、「電子取引データ保存」については、すべての会社と個人に対して義務化されたので、2023年12月までの間に、電子帳簿保存法の求める要件を満たした運用ができるようにしましょう。

 

 

冨田 健太郎

税理士

 

葛西 安寿

税理士

 

【新版】小さな会社が本当に使える節税の本――ひとり会社・零細会社・中小会社まで使える!

【新版】小さな会社が本当に使える節税の本――ひとり会社・零細会社・中小会社まで使える!

冨田 健太郎・葛西 安寿

自由国民社

ひとり社長も使える、小さな会社向けのロングセラー節税本が「新版」で登場。 賃上げ促進税制、地方拠点強化税制、消費税インボイス対策など「最新税法&情報」で増補改訂。 戦略なき節税策が会社をつぶす!“すごい節税策…

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