(画像はイメージです/PIXTA)

地方自治体の頭を悩ます「地域活性化」「都市発展」問題。近年は、ウェブやSNSを活用した情報発信に力を注ぐ政策が多く見受けられます。なかでも「ゆるキャラ」や「ご当地アイドル」といったポップアイコンを活用し、情報拡散力を高める手法は2010年代初頭に巻き起こった「ゆるキャラブーム」終焉後も定着しています。くまモン、ふなっしーなど、ゆるキャラ界のスターが続々と誕生し、飽和状態となった2016年。自身が企画プロデュースした高知県・須崎市のしんじょう君をゆるキャラグランプリ1位に押し上げた市役所職員(当時)による著書『日本一バズる公務員』(扶桑社)から抜粋し、「ゆるキャラ」運営の秘訣や誕生秘話について解説します。

「ゆるキャラ」運営に必須の4要素

まずは、爆発的な人気を誇る先輩、くまモンやバリィさんがSNSを活用してファンを獲得していることからインスパイアを受け、「イベントに参加し認知を広げ→SNSで交流を深め→人気を獲得」という、流れを主軸に〝町で一番のインフルエンサー〟として知名度を広げていく戦略を練りました。

 

さらに、SEO対策の一環として、新しいネタを自分でつくり出すのではなく〝流行っているモノに全力で便乗する〟ということも企画段階から構想していました。

 

そのロードマップには、次の4つの要素がなければ、「ゆるキャラ」は成功できないといまでも思っています。

「ゆるキャラ」運営に欠かせない4要素

1、物販……グッズの売れ行きは人気の指標。物販を制すものはイベントを制す

2、アテンド……通訳として言葉を代弁。あらゆる場面で必要な存在

3、本人……中の人はいないけど、いないけどひとり

4、広報……認知・人気を広める営業の柱

 

とくに重要なのが、当然ですが「本人」です。

 

企業や地方自治体など、チームで「ゆるキャラ」を運営する場合、キャラクター本人に加え複数人でキャラクターの人格をつくり上げる形になるのですが、人にはそれぞれ個性=思考のクセがあり、文章や言葉の端にその個性が現れてしまい、キャラ崩壊を招く可能性があります。

 

しかし、それは「ゆるキャラ」にとって犯してはいけないタブーなのです。

 

担当者が代わるたびにキャラクターの雰囲気が変わっていたら、それは「もうファンやめる」となるくらいの大問題ですよ。

 

でも、約3年で異動のある公務員ではそこが大きな壁になってきます。そういう理由で、現在活躍している「ゆるキャラ」の多くは民間が運営していたりするわけですが、好きになってもらうためにも、キャラクターの個性死守は絶対です。

 

「ゆるキャラ」には、たとえば須崎市でイベントをやったらそのために遠くから来てくれるファンがたくさんいます。

 

そして毎回たくさんのプレゼントや手紙をもらうのですが、それってファンからしたら、キャラに覚えてもらったり、一緒に思い出をつくったり、コミュニケーションを取ったり、とても大切なことです。

 

だから、「ゆるキャラ」って〝中の人〟は存在しないし私も見たことはないのですが、もし仕事や何かで人間が入るタイプの「ゆるキャラ」をつくることがあるならば、絶対ひとりの人がやったほうが良いでしょう。

 

これ、ビートルズのメンバーが全員変わったら、それって果たしてビートルズなのか? くらいの重要度です。

 

 

守時 健

パンクチュアル 代表

 

※本連載は、守時健氏の著書『日本一バズる公務員』(扶桑社)から一部を抜粋し、再編集したものです。

日本一バズる公務員

日本一バズる公務員

守時 健

‎ 扶桑社

高知県須崎市という人口約2万人の小さな町に「革命」を起こした、ある男の物語。 新人職員にもかかわらず、ゆるキャラ・しんじょう君をプロデュースし、ゆるキャラグランプリで1位を獲得。 さらに、ゆるキャラとSNSを駆使し…

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