(画像はイメージです/PIXTA)

地方自治体の頭を悩ます「地域活性化」「都市発展」問題。近年は、ウェブやSNSを活用した情報発信に力を注ぐ政策が多く見受けられます。なかでも「ゆるキャラ」や「ご当地アイドル」といったポップアイコンを活用し、情報拡散力を高める手法は2010年代初頭に巻き起こった「ゆるキャラブーム」終焉後も定着しています。くまモン、ふなっしーなど、ゆるキャラ界のスターが続々と誕生し、飽和状態となった2016年。自身が企画プロデュースした高知県・須崎市のしんじょう君をゆるキャラグランプリ1位に押し上げた市役所職員(当時)による著書『日本一バズる公務員』(扶桑社)から抜粋し、「ゆるキャラ」運営の秘訣や誕生秘話について解説します。

みうらじゅんさんが呼び始めた「ゆるキャラ」

かつて日本には、「ゆるキャラブーム」というものがありました。

 

その原点は、バブル景気に日本中が沸いていた1980年代。各地で沸き起こった地方博覧会ブームで量産されたゆる~いデザインのマスコットたちが始祖といわれています。

 

2000年頃になると、イラストレーターでコラムニストのみうらじゅんさんが週刊誌『SPA!』誌上でこうしたマスコットたちを「ゆるキャラ」と呼び始め、にわかに注目を集めます。

 

当時のみうらじゅんさんは自分の中でだけ流行っているものを「マイブーム」、世界各地に存在する「もらうとちょっと困るお土産=いやげ物」など名づけ、ブームをつくり出していました。軽妙な語り口でマスコットキャラクターを紹介する『ゆるキャラ大図鑑』を出版すると、瞬く間に注目が集まりました。

ひこにゃんが巻き起こしたゆるキャラ一大旋風

このとき、みうらじゅんさんが提唱したゆるキャラ三か条は「郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性がある」、「立ち居振る舞いが不安定かつユニークである」、「愛すべき、ゆるさ、を持ちあわせている」の3つでした。

 

そして、2006年。滋賀県彦根市『国宝・彦根城築城400年祭』のイメージキャラクターとして誕生したひこにゃんが、ゆるキャラの一大ブームを巻き起こします。

 

第1回『ゆるキャラグランプリ』で1位に輝き、ファンクラブを設立し、県を超えてTVやイベント出演で活躍。TVでゆるャラを見ない日はない、そんな日常が始まったのです。

 

ブームはさらに加速し、ゆるキャラのもたらす高い経済効果が話題になると、マスコットキャラクターを「ゆるキャラ」と呼ばれることに「頑張ってつくったマスコットに〝ゆるい〟ってどういう意味だよ」とマイナスイメージをもっていた自治体に変化が起きます。

 

2011年には熊本県のくまモンが、翌年には愛媛県今治市のバリィさんが『ゆるキャラグランプリ』を受賞。さらに、千葉県船橋市のふなっしーの誕生によって、ゆるキャラの経済波及効果がニュースになると、第三次くらいのゆるキャラブームが起き、全国各地にゆるキャラが続々と誕生しました。

 

そんなゆるキャラブームもなんとなく落ち着き始めた2013年。高知県高知市から西へ車で40分ほど行ったところにある小さな町・須崎市で誕生したのがしんじょう君です。

 

 高知県須崎市のマスコットキャラクター・しんじょう君

 

そして、私は隣でしんじょう君のマネジャーというか通訳というか、付き人のようなことをしております。

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    ※本連載は、守時健氏の著書『日本一バズる公務員』(扶桑社)から一部を抜粋し、再編集したものです。

    日本一バズる公務員

    日本一バズる公務員

    守時 健

    ‎ 扶桑社

    高知県須崎市という人口約2万人の小さな町に「革命」を起こした、ある男の物語。 新人職員にもかかわらず、ゆるキャラ・しんじょう君をプロデュースし、ゆるキャラグランプリで1位を獲得。 さらに、ゆるキャラとSNSを駆使し…

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