みうらじゅんさんが呼び始めた「ゆるキャラ」
かつて日本には、「ゆるキャラブーム」というものがありました。
その原点は、バブル景気に日本中が沸いていた1980年代。各地で沸き起こった地方博覧会ブームで量産されたゆる~いデザインのマスコットたちが始祖といわれています。
2000年頃になると、イラストレーターでコラムニストのみうらじゅんさんが週刊誌『SPA!』誌上でこうしたマスコットたちを「ゆるキャラ」と呼び始め、にわかに注目を集めます。
当時のみうらじゅんさんは自分の中でだけ流行っているものを「マイブーム」、世界各地に存在する「もらうとちょっと困るお土産=いやげ物」など名づけ、ブームをつくり出していました。軽妙な語り口でマスコットキャラクターを紹介する『ゆるキャラ大図鑑』を出版すると、瞬く間に注目が集まりました。
ひこにゃんが巻き起こしたゆるキャラ一大旋風
このとき、みうらじゅんさんが提唱したゆるキャラ三か条は「郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性がある」、「立ち居振る舞いが不安定かつユニークである」、「愛すべき、ゆるさ、を持ちあわせている」の3つでした。
そして、2006年。滋賀県彦根市『国宝・彦根城築城400年祭』のイメージキャラクターとして誕生したひこにゃんが、ゆるキャラの一大ブームを巻き起こします。
第1回『ゆるキャラグランプリ』で1位に輝き、ファンクラブを設立し、県を超えてTVやイベント出演で活躍。TVでゆるャラを見ない日はない、そんな日常が始まったのです。
ブームはさらに加速し、ゆるキャラのもたらす高い経済効果が話題になると、マスコットキャラクターを「ゆるキャラ」と呼ばれることに「頑張ってつくったマスコットに〝ゆるい〟ってどういう意味だよ」とマイナスイメージをもっていた自治体に変化が起きます。
2011年には熊本県のくまモンが、翌年には愛媛県今治市のバリィさんが『ゆるキャラグランプリ』を受賞。さらに、千葉県船橋市のふなっしーの誕生によって、ゆるキャラの経済波及効果がニュースになると、第三次くらいのゆるキャラブームが起き、全国各地にゆるキャラが続々と誕生しました。
そんなゆるキャラブームもなんとなく落ち着き始めた2013年。高知県高知市から西へ車で40分ほど行ったところにある小さな町・須崎市で誕生したのがしんじょう君です。
そして、私は隣でしんじょう君のマネジャーというか通訳というか、付き人のようなことをしております。