医学部の不正入試が医師数の男女差に顕著に反映?
厚生労働省「医師・歯科医師・薬剤師統計(2020年)」によれば、国内の医師数は2020年末時点で339,623人、うち女性医師は77,546人(22.8%)となっています。
このうち、医療施設で働く医師に限ってみると、323,700人のうち女性医師は73,822人(22.8%)です。
前回2018年の調査では、医師数327,210人のうち女性医師は71,758人(21.9%)、医療施設で働く医師は311,963人でうち女性医師は68,296人(21.9%)でした。
女性の医師数は2年間で8.6%増加した計算になります。
世代ごとに見てみると、29歳以下が36.6%と最も高くなっており、ここ20~30年間で女性医師の比率がほぼ倍になったことがうかがわれます(【図表1】)。
また、2018年時点と比べても、すべての世代で女性の割合が増加しています。
なお、「30~39歳」がほぼ横ばいですが、一連の不正入試の件がはたしてどこまで影響していたのか、気になるところです。
医学部受験の女性差別は是正されたか?
では、不正入試の件が発覚したあと、医学部受験における女性差別はどこまで是正されたでしょうか。
一連の医学部の不正入試が発覚したのは2018年でしたが、文部科学省の調査によれば、その後、男女の合格率の差は縮小し、2021年度入試では、女性の合格率が13.60%となり、初めて男性の合格率(13.51%)を上回りました(【図表2】)。
このことからすれば、不正入試の影響はほぼ一掃されたといってよさそうです。
もしも、医学部の不正入試が行われていなかったならば、本来であれば女性の医師の割合は現状より高くなっていた可能性がおおいに考えられます。
また、近年、医学部の受験者数の男女比がおおむね男性:女性=3:2程度で推移していることからすれば、今後、女性医師の割合はますます増えていくことが期待されます。