新人弁護士を待つ過酷な将来
では、今後、新人弁護士にはどのような将来が待ち受けているでしょうか。
ここで、日弁連「弁護士白書」(2021年)のシミュレーションのデータを紹介します。2023年以降の司法試験合格者数を毎年1,500人として試算したものです(図表5)。
弁護士の人口は、2020年の42,164人から、2033年には54,732人、2043年には62,497人と、増えていきます。そして、2048年にピークに達し、2059年以降は5,700人台で推移することになっています。
これに対し、弁護士1人あたりの国民数は、2020年時点で2,994人なのが、2033年には2,135人、2043年には1,732人と減っていき、2048年以降は1,600人程度で推移する試算になっています。なお、この試算は今後の日本の人口減少も加味したものです。
現時点では、今後事件数が目覚ましく増加する見通しはありません。また、弁護士一人ひとりの使命感や自助努力に依存するのには限界があります。
そもそも、司法試験合格者の増員・法曹の増員は、司法制度改革の一環として行われてきたものです。そして、司法制度改革の理念は、あらゆる面で国民のための法的サービスを拡充することでした。
しかし、その理念は十分に実現されたといえるでしょうか。
簡単に思いつくだけでも、詐欺の被害者が時間やお金がかかることを理由に裁判をあきらめるケースや、シングルマザーが子どもの父親から養育費を受け取れないケースなどがあります。
実際にはこれらの場合に利用できる便利な法制度があるにもかかわらず、泣き寝入りしている人々がいるのです。
改めて、国を挙げて司法制度改革の本筋に立ち返ることが強く求められています。
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