弁護士の年収・所得はこの10年で大幅減
まず、弁護士全体の年収・所得の額に関するデータを紹介します。
日弁連「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査」(2020年)によると、弁護士の年収は平均値が2,558万円、中央値が1,437万円となっています。
2010年の同調査では平均値が3,304万円、中央値が2,112万円だったので、それと比べると大幅に減少しています(図表1)。
また、所得についても、2010年調査における平均値1,471万円・中央値959万円から、2020年時点で平均値1,106万円、中央値700万円と、大幅に減少しています(図表2)。
その背景としては、弁護士の数が増えているにもかかわらず事件数が減っていることが挙げられます。
すなわち、日弁連「弁護士白書」(2021年版)によれば、弁護士人口は2010年時点で28,789人だったのが2021年時点で43,206人となり、1.5倍に増加しています。
これに対し、民事訴訟の第一審の新受件数(地方裁判所に限る)は2010年時点で222,594件だったのが2021年時点で133,427件と、6割にまで減少しています。
弁護士業界全体がこの状況なので、特に、これから新たに市場に参入する新人弁護士にとっては、厳しい状況が待ち構えていることが予想されます。
新人弁護士は16人に1人が年収200万円未満
それでは、現時点で、新人弁護士の年収・所得はどうなっているでしょうか。
「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査」(2020年)によれば、弁護士経験5年未満(司法修習70期以降)の年収の平均値は768.5万円、中央値は660万円となっています。
また、所得については平均値が519.3万円、中央値が461万円となっています。
全体としてみると、会社員の初任給よりもまだまだ高いと言えます。
しかし、内訳をみると、年収200万円未満が6.1%(図表3)、所得200万円未満が11.9%となっています(図表4)。
つまり、16人に1人が、新卒サラリーマンの初任給よりも低い年収しか得られていないということです。
難関資格である司法試験に合格して弁護士になるまでの道のりの険しさを考えると、釈然としないものがあります。