楽天証券の個人型確定拠出年金(通称『iDeCo(イデコ)』)の手数料を、開始・運用中・受取時の3つのタイミングに分けて、FP資格を持つ証券会社出身のSGO編集者が解説します。また、配分変更にかかる手数料(=スイッチング手数料)の有無や、手数料が安い商品についてもお伝えします。
楽天証券のiDeCo(イデコ)手数料…3つのタイミング別に解説

「老後2,000万円問題」への備えから、加入者が増加している個人型確定拠出年金(通称『iDeCo(イデコ)』)。

 

iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会の調べでは、加入者は2023年1月時点で282.5万人に増加。加入条件が緩和される動きがあるなか、チェックしたい項目の一つが「手数料」です。

 

本記事では、iDeCoの新規加入者数が3年連続1位の「楽天証券」のiDeCoの手数料について、初心者にもわかりやすく解説します。

 

「楽天証券でイデコを始めようと考えているが、手数料はいくらかかるの?」

「そもそもイデコの手数料には、どんなものがあるの?」

 

と疑問に思っている方は、ぜひ参考にしてください。最後まで読むと、楽天証券のiDeCoの手数料のことが一気にわかり、安心して老後資金対策を始めることができます。

 

はじめに:iDeCo(イデコ)の手数料について

イデコの手数料の概要

 

iDeCoの手数料には、大きく分けて次の2つがあります。

 

  1. 金融機関に関係なく必ずかかる手数料
  2. 金融機関によって異なる手数料

 

iDeCoは公的年金の上乗せして個人が任意で加入する「私的年金制度」で、国の年金制度の一種でもあるため、証券会社などの金融機関が自由に手数料を設定することはできません。

 

そのため、金融機関が独自に決めることができる手数料が安い証券会社や銀行を選んでコストを抑えることが、iDeCoの口座選びでは重要になります。

 

その点で言えば、楽天証券のiDeCoは、手数料で最も差別化しやすい「運営管理手数料」が無料なので、最小のランニングコストで運用することができます。

 

次章から詳しく見ていきましょう。

 

iDeCo新規加入者数 3年連続1位

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【一覧】楽天証券のiDeCoの主な手数料

楽天証券のイデコの主な手数料
(引用:楽天証券)

 

まずは、楽天証券のiDeCoの主な手数料(税込)を整理しておきます。iDeCoを取り扱う金融機関の最安と最高の手数料も載せているので、比較してみましょう。

 

■楽天証券のiDeCoの主な手数料

  加入時
(初回のみ)
運営管理
手数料
(毎月)
口座管理手数料(毎月) 給付時
(その都度)
移換時
手数料
①積立あり
(掛金拠出者)
②積立なし
(運用指示者)
楽天証券 2,829円 0円 171円 66円 440円 4,400円
最安 共通 0円 171円 66円 385円 0円
最高 共通 440円 589円 484円 440円 4,400円

※内訳は、国民年金基金連合会に105円、事務委託先金融機関に66円

 

ご覧のように、楽天証券のiDeCoの運営管理手数料は無料で、毎月の口座管理手数料も最安です。

 

一方、給付手数料は440円で最安ではありませんが、これは運用したiDeCoを受け取るときに発生する手数料のことで、毎月発生するものではありません。発生する回数も限られるため、始めるときから気にする必要はありません。

 

また、他社にiDeCo口座を変更するときに移換時手数料が4,400円かかりますが、基本的には最初に選んだ金融機関でずっと運用を続けることになるので、こちらも気にする必要はありません。

 

1. 楽天証券のiDeCo開始時にかかる手数料

楽天証券のイデコ開始時にかかる手数料
(※写真はイメージです/PIXTA)
 

iDeCoに加入するときには、「加入時手数料」が必要です。

 

1.1.「加入時手数料」は2,829円

楽天証券でiDeCoを始めるときは、iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会に、加入時手数料として初回のみ2,829円を支払います。

 

加入時手数料はどこの金融機関でiDeCoを始めるときにもかかり、金額も同じです。

 

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2. 楽天証券のiDeCo運用中にかかる手数料

楽天証券のイデコ運用中にかかる手数料
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

始めるときにかかる手数料の次は、楽天証券でiDeCoを運用しているときにかかる手数料について解説します。他社と差別化できる数少ない手数料なので、しっかり押さえましょう。

 

2.1.「運営管理手数料」は無料

運営管理手数料はiDeCo口座を開設した金融機関に毎月払う手数料で、iDeCoの口座選びで最も重要な項目です。高いところでは毎月440円かかりますが、楽天証券の運営管理手数料は無料です。

 

現在、iDeCoは20歳から75歳まで運用可能なので、最大55年間加入した場合の運営管理手数料を比較してみます。

 

■運営管理手数料の比較

  10年 20年 30年 40年 50年 55年
楽天証券
(0円)
0円 0円 0円 0円 0円 0円
440円の場合 52,800円 105,600円 158,400円 211,200円 264,000円 290,400円

 

ご覧のように、運営管理手数料が無料の場合と毎月440円かかる場合を比較すると、20年間加入した場合で約10万円、40年間加入した場合で約20万円のコストの差になります。

 

この差額分だけ実質的に受け取る年金が増えることになるので、iDeCoの運営管理手数料が無料の金融機関を必ず選ぶようにしましょう。

 

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2.2.「口座管理手数料」は掛金の拠出の有無による

毎月かかるiDeCoの口座管理手数料は、①掛金を拠出する場合と、②掛金を拠出せずに運用の指示のみする場合とで異なります。

 

ちなみに、②の掛金を拠出せずに運用の指示のみする場合とは、60歳以降もこれまで積み立てた掛金の運用だけを行う場合や、失業などやむを得ない理由で一時的に掛金の拠出をストップして運用だけを行う場合などがあります。

 

① 掛金の拠出をする場合

掛金の拠出をする場合の楽天証券のiDeCo口座管理手数料は、171円です(支払い先の内訳は、国民年金基金連合会に105円、信託銀行に66円)。高いところでは589円かかる金融機関もありますが、楽天証券のiDeCo口座管理手数料は主要な金融機関に並んで最安です。

 

iDeCoに40年間加入して掛金を拠出した場合の口座管理手数料を、楽天証券と589円の金融機関で比べてみましょう。

 

■口座管理手数料の比較

  10年 20年 30年 40年
楽天証券
(171円)
20,520円 41,040円 61,560円 82,080円
589円の場合 70,680円 141,360円 212,040円 282,720円

 

ご覧のように、30年間加入した場合で150,480円(=212,040円-61,560円)、40年間加入した場合で200,640円(=282,720円-82,080円)のコスト差になることがわかります。

 

毎月の差額は481円(=589円-171円)ですが、iDeCoのような数十年単位での長期運用になると、トータルでは大きな負担になっていきます。

 

これだと、iDeCoの運用がせっかく上手くいっても手数料で利益が削られてしまうので、もったいないですよね。

 

② 掛金の拠出をしない場合

掛金の拠出をせずに運用指示だけを行う場合の楽天証券の口座管理手数料は、信託銀行に払う66円だけです。

 

■掛金を拠出しない場合とは?

iDeCoは、毎月5,000円以上の掛金を拠出する必要があります(原則60歳まで)。ただし、60歳以降もこれまで積み立てた掛金を最大75歳まで「運用指示者」として運用し続けることができます。

また、失業などの理由で掛金の拠出が困難になった場合も、一時的に掛金の拠出をストップして、運用指示者になることができます。

 

 

2.3.「引き落し口座手数料」は無料

楽天証券のイデコ引き落し口座手数料は無料
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

iDeCoの掛金はクレジットカードでの決済ができず、金融機関からの引き落しが原則です。しかし、楽天証券のiDeCoは、銀行から引き落し手数料は無料です。

 

なお、楽天証券のiDeCoで口座振替が可能な主な金融機関は、以下より確認できます。

楽天証券で口座振替が可能な金融機関

・楽天銀行
・PayPay銀行
・ゆうちょ銀行
・都市銀行、地方銀行、第二地方銀行
・信用金庫、信用組合、労働金庫
・三菱UFJ信託銀行
・みずほ信託銀行
・三井住友信託銀行

 

2.4. 配分変更のための「スイッチング手数料」は無料

スイッチングとは、現在保有している運用商品を売却・解約し、他の運用商品に乗り換えることをいいます。

 

楽天証券のiDeCoではスイッチング手数料はかかりませんが、運用商品によっては解約時に「信託財産留保額」という費用がかかります。ただし、信託財産留保額は楽天証券に払うものではなく、投資信託を運用している会社に迷惑料のようなもので、厳密にはiDeCoの手数料とは異なります。

 

 

2.5.「信託報酬」は投資信託の運用にかかるコスト

楽天証券のイデコで扱う投資信託の信託報酬のイメージ図
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

信託報酬とは、投資信託の運用や管理にかかるコストのことで、楽天証券ではなく、その投資信託を運用する会社に支払います。

 

運用会社が商品ごとに決めているので、どこの販売会社(証券会社や銀行)で買っても、信託報酬は変わりません。

 

ちなみに信託報酬は、インデックスファンド(日経平均株価などの指数に連動した値動きを目指す投資信託)の場合は0.1~0.2%程度のものが多くなっています。一方、アクティブファンド(指数を上回るパフォーマンスを目指す投資信託)の場合はファンドマネージャーの人件費などもかかるため、1~3%程度とやや高めです。

 

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3. 楽天証券のiDeCo受取時にかかる手数料

楽天証券のイデコ受取時にかかる手数料
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

まだあまり気にする必要はありませんが、60歳以降にiDeCoを受け取るときの手数料も把握しておきましょう。

 

3.1.「給付手数料」は1回あたり440円

給付手数料は、運用したiDeCoを受け取るときにかかる手数料のことです。楽天証券のiDeCoの場合、給付の都度に信託銀行に440円の手数料を払う必要があります。

 

ちなみにiDeCoの受取方式には、①「年金方式(一定の金額を定期的に受け取る方法)」②「一時金方式(一括で受け取る方法)」の2通りがあります。

 

年金形式の場合は1回の給付ごとに440円かかりますが、一時金方式の場合は一度440円払えば、それ以上の手数料はかかりません。そのため、給付手数料のことだけを考えると、一時金方式で受取ったほうがコストは安くなります。

 

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4. 楽天証券のiDeCoでかかるその他の手数料

楽天証券のイデコでかかるその他の手数料
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

楽天証券のiDeCoに関する手数料について、「開始時」「運用中」「給付時」の3つのタイミング別に見てきました。

 

ここでは、その他に知っておくと、いざというときに役立つその他に手数料を2つ紹介しておきます。頭の片隅に入れておいてください。

 

4.1.「還付手数料」は合計1,488円

還付とは、多く払った分が返ってくることです。そして、還付にかかる手数料のことを「還付手数料」と言います。

 

iDeCoは原則として、国民年金を払っている人が加入できる制度です。そのため、加入資格を喪失した方や国民年金を未納した方は、iDeCoの掛金の拠出ができません。

 

楽天証券でiDeCoの還付を受けるときにかかる手数料は合計1,488円です。ただし、楽天証券に払う還付手数料は無料で、国民年金基金連合会に1,048円、事務委託先金融機関に440円をそれぞれ支払います。

 

 

4.2.「移換時手数料」は4,400円

楽天証券のイデコ移換時手数料のイメージ図
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

iDeCoは1人1口座しか作れません。変更することもできますが、手続きをしている間は2~3ヵ月運用がストップするうえ、前のiDeCo口座で運用していた商品は強制的に売却されて現金で新しい金融機関に移す必要があるため、慎重に判断する必要があります。

 

やむを得ない理由でiDeCo口座を他社に変更するときにかかるのが「移換時手数料」で、楽天証券の場合は4,400円かかります。

 

この移換時手数料は無料の金融機関もありますが、口座開設時に変更することを見越してiDeCo口座を開設する人はいないはずなので、頭に片隅に留めておくだけで大丈夫です。

 

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5. 楽天証券のiDeCoで手数料が安い商品をランキングで紹介

楽天証券のイデコで手数料が安い商品ランキング
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

前述したように、iDeCoのような長期での運用が前提の場合、信託報酬が低いインデックスファンドを選ぶことが鉄則です。

 

そこで、楽天証券のiDeCoで取り扱う全32本の商品のなかから、信託報酬が低いインデックスファンドをランキングにしたのが次の表です。

 

順位 ファンド名 信託報酬
(税込)
資産クラス
(投資対象)
1位

たわらノーロード先進国株式

0.10989%

先進国株式
2位

たわらノーロード国内債券

0.154%

国内債券
3位

楽天・全米株式インデックス・ファンド

0.162%

米国株式
4位

三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド

0.176%

国内株式
5位

たわらノーロード日経225

0.187%

国内株式
5位

たわらノーロード先進国債券

0.187%

先進国債券

※ファンド名をクリックすると、最新の価格やチャートが見れます。

 

ご覧のように、楽天証券のiDeCoでは「たわら」シリーズ(アセットマネジメントOneが運用)の信託報酬が安く、おすすめです。

 

なお、楽天証券のiDeCoで取り扱っている全商品や銘柄選びのポイント、具体的なおすすめ銘柄は、次の記事で紹介しています。

 

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6. よくある質問

楽天証券のイデコ手数料に関するQ&A
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

最後に、楽天証券のiDeCoの手数料に関するよくある質問に3つ回答します。

Q1. 楽天証券のiDeCoでおすすめの「引き落し口座」はどこですか?

楽天証券の総合取引口座で株式取引をしたり、つみたてNISAを利用したりすることを考えて、口座を連携(=「マネーブリッジ」)することで資金移動が簡単になる「楽天銀行」の口座を開設して設定することをおすすめします。

 

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Q2. iDeCoで「手数料負け」をすることはありますか?

iDeCoの口座管理手数料は毎月171円(積立時)かかるので、楽天証券で元本保証型の定期預金「みずほDC定期」でiDeCoの運用をする場合は金利が0.002%(年率)しかつかず、手数料のほうが高くなります。

 

ただし、iDeCoで節税できる金額を考慮すると、定期預金で運用をしてもトータルで元金が減ることはありません。詳しくは、次の記事で解説しているので、参考にしてください。

 

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Q3.「iDeCoの手数料は高い」と言われるのはなぜですか?

「iDeCoの手数料が高い」と言われることがあるのは、つみたてNISAと比べると高いと感じる人がいるからだと考えられます。つみたてNISAでは、加入時手数料や口座管理手数料がかかりません。

 

しかし、iDeCoとつみたてNISAはまったく別の制度で目的も異なるので、次の記事を参考にして違いをよく理解しましょう。

 

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7. まとめ

楽天証券のイデコ手数料のまとめ
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

この記事では、楽天証券のiDeCoの手数料に焦点を当てて解説しました。

 

楽天証券のiDeCoは毎月の運営管理手数料が無料なので、コストを抑えながら運用ができます。また、信託報酬が低いインデックスファンドを数多く取り揃えているので、銘柄選びを間違えなければ、リターンを最大化することが可能です。

 

そのため、老後資金対策を検討している方は、楽天証券も選択肢の一つに入れ、「節税投資の王様」と言われるiDeCoで賢く資産運用を始めましょう。

 

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